乳癌術後の放射線治療はどこまで回数を減らせるのか
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2017 Jul 1;98(3):595-602. doi: 10.1016/j.ijrobp.2017.01.212.
First Results of a Phase 2 Trial of Once-Weekly Hypofractionated Breast Irradiation (WHBI) for Early-Stage Breast Cancer.
Dragun AE1, Ajkay NJ2, Riley EC3, Roberts TL4, Pan J5, Rai SN5, Jain D3, Quillo AR2, Scoggins CR2, McMasters KM2, Woo SY4.
乳癌術後の放射線治療において、1週間1回の計5回で治療を行った研究の報告である。
乳癌術後の放射線治療は、一般的には1週間5回で、計25回行う治療が広く普及している。
最近では、照射回数を減らした寡分割照射という治療法方も出てきているが、それでも治療回数は15回程度と、約3週間は治療に通う必要がある。
今回の検討では、1週間に1回のみの治療を5週間、計5回行うというものである。
治療の回数が減る分、1回に照射する量は多くなり、通常の治療では1回2Gyの照射であるが、この研究では1回6~5.7Gyを照射している。
また、今回の報告はPhase 2であり、まだまだ大規模な症例に対して適応されたものではなく、初期報告の段階である。
今回の照射法方のメリットは、やはり回数が少ないため、治療に通う時間を大幅に少なくできるという点に尽きるであろう。
実際に乳癌になる女性の方は40~50代の方が多く、仕事を持ちながら治療に通われる場合も少なくない。
そういった意味で、週1回の治療であれば、職場も抜けやすく、精神的な負担も少ないのではないだろうか。
今回の研究では対象の年齢中央値が59歳とやや高齢の方に対して治療を行っている。
おそらくは長期的な副作用の可能性も考慮しての選択かと思われるが、安全性が確認されてくれば、対象年齢の範囲も広がってくるものと思われる。
また、今回の研究においては、副作用の程度(特に皮膚の整容性)については通常の照射と差異はなかったようである。
今後の長期的な治療成績や副作用の報告が待たれるところであるが、放射線治療においても様々な選択枝が提示できる時代がくるのかもしれない。
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