骨へのオリゴ転移に対する定位照射と通常照射の治療効果の比較

目次

1:骨のオリゴ転移に対する放射線治療
2:通常照射と定位照射
3:まとめ
4:参考文献

骨のオリゴ転移に対する放射線治療

オリゴ転移は少数転移のことであり、最近では原発巣がコントロールされている状態であれば、少数転移に対して積極的に根治治療が行われるようになってきています。

今回の話題は骨転移についてです。

少数の骨転移に対して、これまでの通常照射である三次元照射(3DCRT)と高精度照射である定位照射(SBRT)を比較した研究を紹介します。

通常照射と定位照射

この研究で用いられた線量は以下のとおりです。

通常照射(3DCRT)については、8Gy×1回照射、3Gy×10回照射、4Gy×5回照射がおもに用いられました。

定位照射(SBRT)については18Gy×1回照射、10Gy×3回照射、7Gy×5回照射がおもに用いられました。

通常照射に比較すると、定位照射のほうが高精度なぶん、強い線量が用いられています。

結果の解析では、通常照射および高精度照射ともに80%程度と同等の疼痛改善効果が見られています。

患者の申告したQOL(生活の質)についても両群で有意な差は見られませんでした。

再照射については、通常照射群で33%が必要であったのに対して、高精度照射群では5%と、高精度照射群で病変部のコントロールは良かったという結果でした。

まとめ

この結果をみて、骨へのオリゴ転移に対する放射線治療をどのようにすべきかですが、疼痛改善効果やQOLについては両群では同程度であるものの、可能であれば高精度照射(定位照射)を選択するのがよいと考えます。

上に書いたように、オリゴ転移は少数転移であり、しっかりと治療ができれば長期の生命予後が期待できる状態です。

再照射の割合は高精度照射群で少ないことから、高精度照射のほうが強い線量で病変部をコントロールできていると考えられます。

このため、長期の予後が望める状態であれば、高精度照射(定位照射)で治療するのが望ましいと言えます。

いっぽうで通常照射を選択する状況ですが、疼痛が強く、高精度照射の開始まで期間を要する場合が考えられます。

一般的には高精度照射になると治療開始まで1-2週間程度を要することが多いと思いますが、通常照射であれば、1-2日程度で治療を開始することができます。

このため、疼痛が強く1-2週間を待つのもつらい場合には疼痛改善効果が同程度である通常照射を選択するのも一つであると考えます。

また、オリゴ転移であっても、全身状態不良などの理由で長期予後を望めない場合にも通常照射は選択肢になってくると考えられます。

参考文献

Patient-Reported Outcomes of Oligometastatic Patients After Conventional or Stereotactic Radiation Therapy to Bone Metastases: An Analysis of the PRESENT Cohort

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