医療施設の性質によって患者の受診動向は変化するのか。

2019年3月1日

2017 Dec 1;99(5):1261-1270. doi: 10.1016/j.ijrobp.2017.08.018. Epub 2017 Aug 24.

Hospital Quality Factors Influencing the Mobility of Patients for Radical Prostate Cancer Radiation Therapy: A National Population-Based Study.

 

医療施設の性質によって患者の受診動向は変化するのか。

今回の論文は少し切り口の面白い論文である。
この研究の目的は前立腺癌の放射線治療を対象に、患者が最も近い医療施設に受診するのか、あるいは離れた別の医療機関に受診するのかを調べたものである。

 

データベースを用いて、2010年から2014年の間の患者の受診動向について検討している。
総計で40000人超の患者について解析を行っているが、この4年間にある施設では通常の想定よりも800人程度多い患者が受診しており、一方である施設では反対の800人少ない受診となっていた。
これは施設によっては、より多くの患者を獲得し、一方で患者を失っている施設も存在するという結果であった。

 

この研究で検討された57施設のうち19施設(33%)は患者を獲得した施設に分類され、一方で25施設(44%)は患者を失った施設に分類されている。

患者が直近の施設を利用しない要因として大きいのは、その施設が治療に向いているのかどうかを患者自身が検討した結果である。

有意に影響した因子は、大学病院であるか、放射線治療部門が充実しているかどうか、早期からIMRTを行っているか、寡分割照射を行っているか、であった。
特に、治療部門の充実および寡分割照射が大きな要因であった。

 

非常に興味深い内容であり、今後の医療施設の生き残りにも関わってくるような内容であると思われる。
以前にこのブログでも触れたが、放射線治療は外科と似たところがあり、治療件数が多いほど、治療成績が良くなる傾向にあることが示されている。
そういった意味で、患者が大病院や大学病院に集まる傾向にあるのは当然の結果とも言える。
もし仮に自分の親族が同様の状況になれば、やはり大規模な病院で症例数の豊富なところを勧めるであろう。

 

また、患者自身が寡分割照射つまり、回数の少ない治療を選択して病院を決定しているというところも興味深い。
前立腺の寡分割照射自体は一般的治療ではないが、通常の放射線治療であれば2ヶ月程度かかるものを短縮できるので、患者にとってのメリットは大きいといえる。
特にアメリカでは日本ほど病院が近くに無い場合が多く、仮に通院となれば相当の負担となる。
そういった面もこの結果に影響しているのかもしれない。

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