乳癌の術前APBIについてのphase 2 study

2019年3月27日

Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2017 Mar 15;97(4):747-753. doi: 10.1016/j.ijrobp.2016.11.030. Epub 2016 Nov 27.

Preoperative Accelerated Partial Breast Irradiation for Early-Stage Breast Cancer: Preliminary Results of a Prospective, Phase 2 Trial.

乳癌術前のAPBI(accelerated partial breast irradiation)についての研究。
通常、乳癌に対する放射線治療は病側の乳腺全体に対して照射するのが一般的であるが、APBIは腫瘍床のみに対して照射する方法である。まだ研究段階での治療法であり、一般臨床では国内でほとんど行われてはいないと考える。
APBIの利点は腫瘍床のみに照射するため、正常の乳腺組織に照射される線量を減らすことができ、副作用を低減できるという点である。また、今回の研究のように加速照射(1日に2回以上の照射)を行うことで、全体的な治療期間を短縮できるという点も挙げられる。一方で、腫瘍床のみに照射することが、その後の再発リスクを下げることができるのかというのは議論の必要な部分である。
今回の報告はさらに進んで、APBIを術前に行った場合のphase 2 studyである。
術前に照射する場合には腫瘍自体が存在するため、術後の腫瘍床に照射する場合と比べて、腫瘍の範囲の評価は容易である。
デメリットとしては、放射線治療の期間が必要となるため、手術までの遅延が生じるという点が挙げられる。
線量は38.5Gy/10回/2週間で治療されており、放射線治療はノンコプラナーでの照射である。
今回の研究はphase 2 studyのため、生存率や無再発率を詳細に評価しているわけではないが、今回の治療法において、重篤な副作用は発生せず、整容面でも良好な結果が得られたと報告されている。
乳癌についての術前照射、APBIについてはまだまだ議論が必要な領域であるが、今後さらなる報告が出てくれば、治療の選択枝のひとつとなりえると考えられる。本文中でも触れられていたが、術前のAPBIのみでCR(腫瘍消失)に至った例も存在し、今後の可能性としては放射線治療単独で乳癌治療を行うということもありえるかもしれない。
乳癌治療においては癌の治療自体も重要であるが、治癒後の整容面も重要な指標となる。一般的な全乳房照射は整容面でやや劣る面はあり、最近では初期乳癌においても、放射線治療を行わずに乳房切除後に人工的に乳房再建したほうが整容面に優れるという報告もなされている。今後も新たな治療方法が提案される可能性は十分にある領域と考える。

広告