トモセラピーとIMRTの費用の比較

2019年3月27日

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27131080

今回は論文の紹介です。

頭頚部癌における放射線治療で、トモセラピーとIMRTを費用面で比較したものです。

 

治療の費用と一概に言っても、国によっても様々であり、簡単には一般化しにくい問題ではあります。

この論文では、費用を算出する項目として、人件費(治療やプランニングにかかる時間)、治療機械および計算用機械の費用を用いています。治療機械については10年を使用期間に、計算用の機械については5年を使用期間として設定しているようです。

 

簡単にそれぞれの治療法を説明すると、

トモセラピーは専用の治療装置を必要としますが、一般の治療装置では困難な、広範囲で高精度な治療を可能とするものです。

IMRTは一般的な放射線治療装置を用いた、高精度照射になります。

 

今回の論文の結果ですが、トモセラピーはIMRTと比較して、プランニングや検証においては、費用面は安くなっていますが、実際の治療においてはIMRTよりも費用がかかり、結果として、トモセラピーのほうが高額の治療となるとのことでした。

また、副作用等の治療成績に関しては両者で有意な差異は無いという結果でした。

この結果については、トモセラピーはプランニングについては比較的簡便にできるものの、その治療装置自体が高額であり、メンテナンスについてもより費用がかかることが、影響していると考察されています。

 

最近では医療経済学の側面が以前に比較して大きくクローズアップされる傾向にあるようで、このように費用の比較をする論文も多く見かけます。

日本でもオプチーボの高額な医療費が問題となりましたが、医療にかかる費用というのは科学の進歩に伴って飛躍的に上昇しており、過剰な治療は国自体の経済を破綻させる要因となります。

このような論文でたいてい導かれる結論は、結局高度な治療機械を用いることのメリットは限定的であり、より一般的な治療装置で対応するほうが好ましいという結論です。

このような結論に政治的な意図があるのかどうかは分かりませんが、高額な治療を抑えようというのは当然のことであり、そういった結論が喜ばれるという側面もあるのかもしれません。

放射線治療は科学技術の進歩とともに発展してきた領域ですが、現在は一般病院にある治療装置も高度化しており、通常の治療については問題なく対応できるようなレベルになっているところが殆どかと思います。

あくまで私見ですが、医療経済学的な側面から言えば、粒子線治療やその他の高精度治療が寄与する領域は、今後そこまで広がらないのかもしれません。

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