膀胱癌術後の放射線治療における照射範囲について

2017年3月25日

Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2017 Mar 15;97(4):740-746. doi: 10.1016/j.ijrobp.2016.11.039. Epub 2016 Nov 27.

External Validation and Optimization of International Consensus Clinical Target Volumes for Adjuvant Radiation Therapy in Bladder Cancer.

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28244409

 

膀胱癌術後の放射線治療における照射範囲について、術後患者の再発形式をもとに、現在の標準となっている照射範囲とを比較した論文である。

結論は、再発形式で多かったものは、総腸骨動脈周囲および閉鎖リンパ節領域であり、これらは標準的な照射範囲から外れる領域であり、治療計画の際には注意が必要とのこと。

JASTROの発行しているガイドラインにおいても、膀胱癌の治療において、内・外腸骨動脈を領域に含むように記載があるが、総腸骨動脈領域については記載されていない。リスクの高い症例については、照射野を頭側に伸ばすことも考慮する必要があるのかもしれない。

一方で閉鎖リンパ節領域については、4門で照射する際には基本的に領域に含まれるため、そこまで意識しなくても良いのかもしれない。問題となるのはIMRTのように、領域を厳密に指定して照射する場合であろう。

 

リンパ節領域をどこまで含めるのかというのは、副作用が増えるという観点からは難しい問題である。一律にすべての症例で、広い照射野で治療をするというのは許容されないであろう。症例ごとにリスクを十分に評価して、使い分けるというのが現実的な対応になるのではないだろうか。

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