日本とアメリカの研究体制の違い
目次
1:日本とアメリカの違い
2:それぞれの国民性の違い
3:研究における組織力の重要性
日本とアメリカの違い
少し前にSNSで日本とアメリカの違いについて触れている投稿があり、共感する部分があったので、自分が感じていることも含めて書いていこうと思います。
SNSで触れられていたのは組織構築に関しての部分で、アメリカでは一部の優秀な人間がリーダーシップを発揮して大きな組織を作り上げて成果を出す傾向があるというものでした。
いっぽうで日本では組織が大きくなれば機能不全に陥ることが多く、個々が優秀でも、集合体になるとその機能を十分に発揮できなくなるという意見でした。
それぞれの国民性の違い
これは確かになるほどなと感じる部分があります。
日本は世界的にみても教育水準は非常に高く、字が読めない人というのはほとんどいません。
そしてほとんどの人が高校までの高等教育を受けており、また大学進学している人の率も少なくありません。
いっぽうでアメリカでは字を読めない人の割合も少なくなく、いわゆる底辺労働者のような場合では、字が読めなくても仕事についている人もそれなりの割合でいます。
ただ、日本はこれだけ教育水準が高いにも関わらず、例えば研究分野における成果ではアメリカに大きく溝を開けられています。
この原因として組織構築の違いが大きく影響しているのではないかと、このSNSの意見を見て感じました。
極端な話をすると、アメリカでは90-100ぐらいの能力を持つ一部の優秀な人が、20-30程度の能力の人を引っ張っていくイメージです。
言い方は悪いですが、教育水準の低い人たちは、仕事において自分の意見ややり方を持たないため、優秀なリーダーの指示通りに動きやすいということです。
いっぽうで、日本では多くの人が70程度の能力を持っていますが、逆に優秀であるが故にそれぞれの考えで動いてしまい、組織としての効率が悪くなっているのではないかということです。
よく引き合いに出されることですが、太平洋戦争におけるそれぞれの軍の運用もこれに当てはまる部分があるのではないかと思います。
言ってしまえば沁みついた国民性のようなものがあるのかもしれませんが、日本人は大規模な組織を効率的に運用するのが下手な国民なのかもしれません。
研究における組織力の重要性
基礎科学のような分野であれば、また違うのかもしれませんが、医療における研究では組織の力というのは非常に重要です。
医療の研究において特に重要になる研究の多くは、いわゆる大規模比較試験になります。
これはできるだけ多くの症例を集めて、その中で治療法を比較するもので、最も結果の正確性が高いとされるものです。
これは大規模試験というだけあって、できるだけ多くの施設、病院が連携して症例を集めていく必要があります。
アメリカでは大規模試験の素地が構築されています。
退役軍人のデータベースなど、多くの大規模なデータベースが作られ、様々な分野で利用されています。
日本でもこのような取り組みはそれぞれの学会ごとに行われていますが、アメリカと比較するとどうしても数やクオリティの部分で劣っている部分があると感じます。
大規模試験を行うにはそれを運用する組織が必要ですが、それがアメリカでは有効に機能し、日本では十分に機能していないのがその一因にあるのかもしれないと、今回のSNSの話題で感じました。
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