現時点では前立腺癌の高線量率(HDR)単回治療は難しい?

目次

1:LDRとHDR
2:HDRの単回治療の可能性は?
3:参考文献

 

LDRとHDR

前立腺癌において小線源治療は一つの確立された治療法です。

特に永久埋め込み型のいわゆるLDRと呼ばれる小線源治療は低~中リスクの前立腺癌において90%程度の奏効率が示されています。

LDRは単回治療であり、短期的に治療が終了するのもメリットですが、いっぽうで刺入した線源の意図しない移動や脱落が治療成績の低下につながるという報告もあります。

近年ではHDRと呼ばれるより高線量の線源を用いて、埋め込みではなく、一次的に留置する手法で治療する方法も普及してきています。

HDRのメリットとしては、LDRのように挿入した線源が治療後に移動するというようなことが無く、より治療者の意図した線量の分布を実現しやすいという点が挙げられます。

 

HDRの単回治療の可能性は?

いっぽうでHDRは複数回にわけて治療をするのが一般的です。

LDRもHDRも股の間ぐらいから針で刺して前立腺まで線源を届けるのですが、これを複数回するとなると身体的な負担もそれなりになります。

LDRが1回で終了する点と比較すると、複数回線源を刺入するのはなかなか大変です。

そこで、これまでにいくつかの研究でHDRを単回で治療して良好な治療成績が得られるかどうか検討されてきました。

複数回治療のものを単回にした場合、最適な投与量がどれぐらいになるのか難しい議論もありますが、一般的に19Gyを1回投与が適当であると考えられ実施されました。

ただ、結果としてはあまり良好とは言えず、一つの研究では6年間のフォローで奏効率は約70%程度でした。

他の治療と比較すると見劣りすると言わざるを得ません。

治療成績が複数回投与の場合と比較して悪くなった原因を特定するのは難しいですが、19Gyという量が十分ではなかった可能性はあります。

これまでのデータ上では19Gyというのは適当な線量なのですが、実際に投与してみるとそうではなかった可能性があるということです。

また、単回治療じたいが前立腺癌の治療に対して不向きであるという可能性もあるかもしれません。

LDRは治療じたいは単回で終わるものの、体内に線源を入れた状態で過ごすため、約1年かけて前立腺に照射するという形なので、HDRの単回治療とは異なります。

少なくとも、現時点ではHDRを19Gy単回で行うのはあまりお勧めされるとは言えないでしょう。

今後、新たな研究結果が出てくればまた結果は違ってくるものと思われます。

 

参考文献

Single Fraction High-Dose-Rate Brachytherapy: Too Good to Be True?

DOI: 10.1016/j.ijrobp.2019.04.036

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