アメリカにおける大学教授の業績事情

目次

1:アメリカの教授とは
2:教授になった年齢は?
3:アメリカの教授の驚きの研究実績
4:参考文献

 

アメリカの教授とは

本来はアメリカの放射線腫瘍学会における、性差(ジェンダー)についての論文ですが、その内容の中で大学教授の業績に触れている部分があり興味深かったので紹介しようと思います。

少しややこしいのですが、日本における教授とアメリカにおける教授は微妙に違っています。

アメリカではProfessor以外にChairという役職があり、どうもこのChairが日本で言う教授のようで、Professorはいくつかの種類に分かれる教授の下の役職のようです。

このあたりは私も実際にアメリカの事情を知らないので、もしかしたら違っているかもしれません。

 

教授になった年齢は?

今回紹介する論文では、アメリカにおけるChair(日本で言うところの教授)を対象にして、それぞれの業績や年齢などに性差が見られたかどうかを検討しています。

結果として、ほとんどの項目では男女間で差は見られませんでした。

一部、研究における補助金が女性のほうが有意に多く獲得しているという結果でした。

この結果の中で紹介されていた項目で興味深かったのは、まずChairになった年齢についてです。

Chairになった年齢は45歳以下が約40%程度、45~49歳が約30%となっており、40台までが70%を占めるという結果でした。

日本での事情を詳細には知りませんが、個人的には日本と比較して若い印象を受けました。

特にアメリカの場合は医師になるためには別の学部を出てから医学部に入るという形態をとるため、医師として本格的に働けるのはおそらく日本よりも遅いと考えられます。

にもかかわらず日本と同じかそれよりも若い年代で教授になっているというのは驚きです。

 

アメリカの教授の驚きの研究実績

そして年齢よりもさらに衝撃を受けたのが、教授になるまでに投稿した論文の数です。

論文は通常、複数人がチームのような形で書き上げることが多く、主として執筆する人物を筆頭著者、その著者を積極的にサポートする人物、そしてその教室の教授などに分かれていきます。

もちろん筆頭著者はそれなりの労力が必要となってくるわけですが、教授になるまでに投稿した論文は、筆頭著者で平均28本となっています。

これは男女間で差はありません。

先ほど、教授になった年齢を紹介しましたが、教授になるまでに28本を書こうと思うと1年に1本では足りない計算です。

論文を投稿するというのはただ文章を書けばよいというわけではなく、データを集め、統計解析を行うなど様々な過程が必要です。

そして投稿してから受理されるまでにも様々なやり取りが発生します。

それを1年に1本以上行うというのは並大抵ではありません。

そして、筆頭著者を含めて、なんらかの名前が入っている論文すべてを含めると、教授になるまでに平均で約80本の論文を投稿しているということでした。

正直なところ、日本との業績を比較すると桁外れに多いと思います。

日本にも各大学に教授がいるわけですが、教授になるまでに1年に平均1本の原著論文を書いている人は稀だと思います。

世界の大学ランキングでも、トップ10に日本の大学は入っていません。

今回の論文で紹介されている結果を見ても、日本とアメリカの研究力の差は歴然としたものがあります。

論文の発表がすべてではありませんが、多くの論文を積み重ねていくことで臨床成績が改善していくというのが現代医学であると考えます。

研究力にこれほど差がある状態で、日本がアメリカに追い付いていくというのは現実的にはなかなか難しいものがあると感じます。

本来は性差に焦点を当てた論文でしたが、日本人の自分は違う部分で非常に衝撃を受けた内容でした。

 

参考文献

Gender, Professional Experiences, and Personal Characteristics of Academic Radiation Oncology Chairs

(現在、投稿論文は見れないようです)

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