頭頚部癌の放射線治療後副作用の回復について

目次

1:頭頚部癌に対する放射線治療
2:放射線治療後の副作用の経過
3:まとめ
4:参考文献

 

頭頚部癌に対する放射線治療

頭頚部癌においては放射線治療が大きな役割を持ちます。

放射線治療の特徴は機能や形態を温存できることです。

頭頸部領域では機能や形態が失われると生活の質(QOL)が大きく損なわれることが多いため、放射線治療が重要となってきます。

いっぽうで、放射線治療でも全く副作用が起こらないということはありませんので、ある程度の副作用が発生し、それがその後の生活に影響してきます。

特に、頭頚部癌においては化学放射線療法で治癒が得られるケースも少なくないため、その後の副作用の程度によって影響される期間も長いものとなります。

 

放射線治療後の副作用の経過

頭頚部癌に対する放射線治療後の副作用を解析した論文を紹介します。

ここでは、比較的予後が良いとされるHPV関連の中咽頭癌を対象に、やや弱めの治療を行った際の副作用を評価しています。

結果として、上の図の中で左上の部分になりますが、QOLや身体的機能などは治療後3-6か月程度でほぼ治療前の水準まで改善が見られています。

いっぽうで、右上の図では嚥下障害や味覚障害、口渇などの推移を示していますが、嚥下は3か月程度で改善するものの、味覚や口渇は治療から長期間経過しても治療前の水準に戻っていないことが分かります。

これは実際に診療していてもそうなのですが、特に口渇に関してはかなり長期間経過しても元通りまで回復することは稀です。

味覚障害に関しては、個人差はありますが、人によっては治療前の水準まで回復することはしばしば見られます。

ただ、図で見ても分かるように、口渇や味覚障害も時間とともに少しずつですが改善はしていきますので、時間の経過が重要であるとも言えます。

1年後、2年後での改善度を示している図になります。

QOLや機能に関する項目では70~80%の人が治療前水準まで回復しています。

いっぽうで、味覚障害に関しては2年後で40%程度、口渇については2年後で20%程度の人しか治療前の水準まで戻っておらず、回復しにくい症状であることがわかります。

まとめ

頭頚部癌に対する放射線治療後の副作用の経過では、QOLや身体的機能は比較的早期に治療前の水準に回復しますが、味覚障害や口渇はかなり長期間にわたって障害されます。

しかしながら味覚障害や口渇等の長期間持続する副作用についても時間の経過とともに徐々に改善していく傾向にはあります。

治療後2年で、治療前の水準に戻っている人の割合は、味覚障害で40%程度、口渇で20%程度と少ないです。

 

参考文献

Quality of Life for Patients With Favorable-Risk HPV-Associated Oropharyngeal Cancer After De-intensified Chemoradiotherapy

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