高リスク前立腺癌において骨盤領域を追加で照射しても治療成績は改善しない

まとめ

高リスク前立腺癌において前立腺のみを照射する群と比較して、骨盤領域を追加で照射した群では治療成績の改善は見られなかった。

 

 解説

2015年の論文になるため、データとしてはやや古いので参考程度にはなりますが、いちおう紹介しておこうと思います。

高リスク前立腺癌に対して、標準的な前立腺のみを対象とした放射線治療と比較して、骨盤全体を含めて照射した場合の治療成績を比較したものである。

大規模なデータベースに登録されている症例群を解析したもので、それぞれ7000例程度、合計で14000例を対象としている研究である。

結果として標準の放射線治療に比較して、骨盤領域の照射を追加した群では、生存率に明らかな改善は認められなかった。

その他、治療成績が低下する要素としては、高齢、併存疾患の有無、T stageが高い群、PSA高値、グリソンスコアが高いもの、低収入があった。

一方で、治療成績が改善する要素としては、ホルモン除去療法の追加、小線源治療の併用、大規模施設(本文中ではacademic/research institution)での治療が挙げられている。

骨盤領域まで照射をするというのは比較的強い治療にはなるが、その治療を追加しても有効な結果は得られなかった。

照射範囲が広くなれば、その分副作用や身体的な負担も増えるわけで、そういう負の面が治療成績に影響した部分もあるのかもしれない。

参考文献

Survival Outcomes of Whole-Pelvic Versus Prostate-Only Radiation Therapy for High-Risk Prostate Cancer Patients With Use of the National Cancer Data Base

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