10年間での放射線治療の変遷。

2019年3月27日

2017 Dec 1;99(5):1078-1082. doi: 10.1016/j.ijrobp.2017.07.042. Epub 2017 Aug 2.

Photon and Proton Radiation Therapy Utilization in a Population of More Than 100 Million Commercially Insured Patients.

 

10年間での放射線治療の変遷。

 

アメリカにおける大規模調査で、2002年から2012年の間に、放射線治療の内容がどのように変わってきたのかを検討したものである。
今回の調査は特に、陽子線治療の利用に着目して検討している。

 

2002年の時点では、陽子線治療を施行された患者は14例であったが、2012年時点では380例まで増加している。ただし、放射線治療全体でみると、陽子線治療の増加はそこまで目立たず、IMRT治療の伸びが目立つ結果であった(10倍)。その一方で、以前から見られた2次元治療の割合は減少していた。
年代別で見ると、成人例では陽子線治療は前立腺癌以外では殆ど利用されておらず、前立腺癌においては陽子線治療がやや利用されるようになってきているが、やはり、IMRTの利用率が大きく伸びている結果となっている(18倍)。前立腺癌以外の成人例においてはIMRTや3次元治療の割合が10年前よりも伸びてきている。
小児例に限ると、陽子線治療の伸びが目立ち、一方でIMRTや3次元治療の伸びはそこまでではない。

 

以上から、この10年での陽子線治療の利用率の変遷は、小児および前立腺癌症例において伸びており、その他の症例ではそこまで利用されていないという結果であった。

 

著者らは、陽子線治療の利用については、効果やメリットが特に認められる疾患や年齢層にある程度限定されるべきであり、現在の流れが将来的に続いていく可能性が高いと考えている。

 

これはアメリカの研究であるが、今後日本でも同様の議論が出てくるであろう。
やはり陽子線治療や重粒子線治療は、これまでの放射線治療と比較して高額である。これをすべての患者の治療に適応していては早晩、医療経済が崩壊してしまう要因となる。日本では近年、多数の粒子線治療施設が建設され、あるいは建設予定であり、その勢いはアメリカをしのぐ可能性もある。アメリカよりも人口の少ない日本において、そこまで多くの粒子線治療施設が必要なのかどうかは十分に検討する必要があるであろう。

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