放射線治療を受ける患者数の将来予測

まとめ

今後10年~15年はすべてのがん患者が増えていくことが予想され、それに伴い放射線治療を必要とする患者数についても同様に増えていくと考えられる。

 

 解説

日本放射線腫瘍学会(JASTRO)の会誌からの引用である。

放射線腫瘍学会がこれまでに取得したデータをもとに今後の患者数を推計したものである。

これによると、すべてのがん患者じたいは2030年~35年ごろまで増えていくものと考えられ、それ以降は同程度に推移するか減少していくものと予測される。

日本は過去にない少子高齢化の状態であり、今後も人口は減少していくことが予測されるが、高齢化の状態であり、がん患者じたいはしばらくの間は増え続けるものと考えられる。

これに伴い、がん患者の中で、放射線治療を必要とする患者についても同様に2030年~35年頃までは増えて言うことが予想される。

がん患者の中で放射線治療を必要とする患者はおおよそ30%前後と考えられており、これじたいも大きな変化は無いと思われる。

もちろん今後の研究によって、放射線治療がより有効な領域あるいは別の治療が有効な疾患も出てくるものと考えられるが、大きな傾向は変わらないものと思われる。

このため今後10年~15年程度は放射線治療の需要も増え続けていくことが予想される。

その先については今後の人口動態にも影響されるため、正確な予測は難しいであろう。

コロナ禍において検診の受診率が落ち込んだ影響もあり、この間に診断・治療が行えていないがん患者も少なくないと考えられる。

また、実際には放射線治療が有効な状態であっても、治療を受けられていないがん患者も少なからず存在するものと思われる。

これらの拾い切れていないがん患者に広く放射線治療を提供していくことも必要であり、引き続き放射線治療の有効性、重要性を発信していくことが必要であると考える。

 

参考文献

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