切除可能膵癌に対する術前化学放射線療法と即時手術の治療成績の比較

まとめ

切除可能膵癌において、術前の化学放射線療法群と即時手術群での治療成績の比較では、術前の化学放射線療法群のほうが全体的に治療成績が優れているという結果であった。

 

 解説

切除可能膵癌に対して手術前の化学放射線療法を行う場合と、即時手術を行う場合での治療成績を比較したランダム化比較試験の紹介。

術前の化学放射線療法の群では、36Gyを15回に分けて照射し、ゲムシタビンを併用する。術後はアジュバント療法としてゲムシタビンを継続投与する。

即時手術群では手術のあとにアジュバント療法としてゲムシタビンを投与する。

結果として、全生存期間は先行化学放射線療法群で16か月、即時手術群で14.3か月と若干の違いはあるものの統計学的には差は見られなかった。

無病生存期間(病気が再発せずに過ごせた期間)は先行化学放射線療法群で即時手術群と比較して有意に長かった。

切除率は先行化学放射線療法群で72%、即時手術群で61%であったが統計学的には差は見られなかった。

残存なし切除率は先行化学放射線療法群で有意に高かった。

また、病理検査では周囲のリンパ節への転移も先行化学放射線療法群で有意に少ないという結果であった。

全体的に先行化学放射線療法群で治療成績が優れているという結果であり、切除可能あるいはボーダーライン症例においては術前の化学放射線療法は積極的に勧められる治療法であると考えられる。

 

参考文献

Preoperative Chemoradiotherapy Versus Immediate Surgery for Resectable and Borderline Resectable Pancreatic Cancer: Results of the Dutch Randomized Phase III PREOPANC Trial

 

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