切除不能肝細胞癌に対するアテゾリズマブ、ベバシズマブの併用は従来のソラフェニブの治療成績を凌駕する
まとめ
解説
NEJMに掲載された論文の紹介。
NEJMは臨床医学における頂点の雑誌の一つであり、この雑誌に掲載されたということは、その後の臨床において非常に大きな影響を持つということである。
今回紹介する内容は、切除不能の肝細胞癌に対する化学療法の話題である。
切除不能肝細胞癌に対して、アテゾリズマブとベバシズマブを併用する群とソラフェニブを投与する群をランダムに割り付けて比較したものである。
結果として、観察期間中に併用群で28.6%、ソラフェニブ群で39.4%の死亡があり、12か月時点での全生存率は、併用群で67.2%であったのに対してソラフェニブ群では54.6%と、いずれも併用群のほうが有意に優れているという結果であった。
局所制御の中央期間についても併用群で6.8か月であったのに対して、ソラフェニブ群では4.3か月で、2か月以上延長されていた。
これまではSHARPトライアルの結果からソラフェニブが切除不能肝細胞癌に対する標準治療であったが、それに代わる新たな治療が示されるという結果となった。
これは現在進行中の臨床試験に与える影響も大きく、従来の標準となっているソラフェニブを組み込んだ臨床試験はいずれも過去のものとなってしまう可能性がある。
そして今後はこの結果をうけて、アテゾリズマブやベバシズマブを組み込んだ形で、放射線治療との併用療法などの可能性が新たな試験で検討されていくものと思われる。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません