小さな肝細胞癌は放射線治療で手術と同程度の治療成績が得られる

2017年11月5日

2017 Jul 1;98(3):639-646. doi: 10.1016/j.ijrobp.2017.02.095. Epub 2017 Mar 1.

Long-Term Survival Analysis of Stereotactic Ablative Radiotherapy Versus Liver Resection for Small Hepatocellular Carcinoma.

 

小さな肝細胞癌は放射線治療で手術と同程度の治療成績が得られる、という報告。

この研究では5cm以下の肝細胞癌を有する、肝機能がChild-Pugh分類でA群の患者を対象として、体幹部定位放射線治療で治療した結果を報告したものである。
放射線治療はサイバーナイフを用いて、さらに呼吸同期を併用した形で行っている。
放射線の線量は、合計42~45Gyを3~5回に分けて照射している。

 

5年生存率は、放射線治療群で70.0%、手術群で64.4%と有意な差は見られなかった。propensity score matchingを行った解析においても同様の結果であった。

 

肝細胞癌の治療方針決定においてはBarcelona Clinic Liver Cancer (BCLC) guidelineが有名である。
その中では、初期の肝細胞癌においては手術による切除が標準とされている。
一方で、手術は侵襲が高く、高齢者や合併症を有するような患者では、なかなか選択しにくいという面もある。
今回の研究では、この手術と比較した定位放射線治療の有効性を検討したものであり、結果として放射線治療は手術と同程度の成績が得られることが報告された。

 

今回の研究は初期の肝細胞癌の治療に一石を投じるものになると考えられ、今後の検討によっては、初期戦略が変わってくる可能性もあると思われる。
現在、肺癌においては手術不能例に定位放射線治療を行うケースも増えてきていることから、今後は肝細胞癌においても同様の傾向になっていくのかもしれない。

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