乳房温存術後の寡分割照射は通常分割と比較して長期的な整容面に差はない

まとめ

乳房温存術後の放射線治療において、寡分割照射と通常分割照射で長期的な整容面に差は見られない。

 

 解説

すでにいくつかの文献で語られているところではあるので簡単に触れるが、乳房温存術後の放射線治療において、寡分割照射(42.56Gy/16回照射)と通常分割(50Gy/25回照射)を比較して、長期的な整容面に差は見られていない。

つまり短期で治療しても、通常の期間で治療しても、皮膚の見た目は変わらないということだ。

これは、患者自身の自覚的な所見に加えて、医師が評価する項目についても両群で差は見られなかった。

日本においても乳房温存術後に寡分割照射を行う機会が増えてきている。

もちろん全例で行えるわけではなく、適応があるが、適応に合致するのであれば十分に検討する価値はあると考えられる。

特に乳癌は比較的若い女性に発生することも多く、仕事をつづけながら治療を受けるという場合も少なくない。

このため、短期的に治療を終えることができる寡分割照射は十分にメリットがあると考えられる。

特に、現在はCOVID-19感染もあり、治療期間を短縮することで感染することによる治療の中断といったリスクを少なくできるというメリットもあり、以前よりも積極的に勧められる状況となっている。

寡分割照射は短期で行うため、1回に照射される線量が多くなり、一時的な皮膚炎については強くなる可能性があるが、治療が終了すれば時間の経過とともに改善していくものであり、基本的には心配ないものである。

この論文の中では、長期的な整容面が劣るのは乳房が大きな症例(Dカップ以上)、肥満が挙げられているため、これに該当する症例においてはいずれの照射法であっても注意する必要があるであろう。

 

参考文献

Five-Year Longitudinal Analysis of Patient-Reported Outcomes and Cosmesis in a Randomized Trial of Conventionally Fractionated Versus Hypofractionated Whole-Breast Irradiation

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