通常の化学放射線療法終了後に、局所に定位照射を追加した場合の検討。

2019年1月25日

2017 Nov 1;99(3):652-659. doi: 10.1016/j.ijrobp.2017.07.036. Epub 2017 Jul 29.

Update of a Prospective Study of Stereotactic Body Radiation Therapy for Post-Chemoradiation Residual Disease in Stage II/III Non-Small Cell Lung Cancer.

 

通常の化学放射線療法終了後に、局所に定位照射を追加した場合の検討。

一般的な非小細胞肺癌に対する化学放射線治療における、放射線の線量は60Gyである。
これはおよそ40年間変わりない数値である。
この40年の間に様々な治療に進歩が見られた一方で、肺癌というわりと一般的な治療において、処方線量がほとんど変わらなかったというのは意外である。それだけ線量を増加するのが難しいという裏返しなのかもしれない。

 

今回の研究では、定位放射線治療を用いて局所の線量増加を図っているものである。
すべての領域に対して高線量を投与するのは、副作用の観点から現実的ではないが、局所のみであれば副作用を増やさずに線量増加できる可能性があり、局所制御の向上も期待できるかもしれないというのが背景にある。

 

この研究では通常の60Gy治療のあとに定位照射で20Gy/2回照射を追加している。
検討の中では20Gy群と19.5Gy群を比較して、統計学的な有意差は見られなかったものの、20Gyが優れている可能性があることを示している。
また、副作用についても重篤な副作用の増加は見られなかった。

 

局所への追加の定位放射線治療は、放射線治療医にとっては魅力的な治療である。
ただ、どのような症例において利益があり、またどのような症例では避けるべきなのかというのはまだまだ検討する余地があるであろう。
現時点では一般的な治療とは言えないが、今後知見が蓄積されていけば、ひとつのオプションになりえるのではないかと考える。

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