非小細胞肺癌で初期治療で治癒しなかった場合の次の手は?

まとめ

非小細胞肺癌(NSCLC)に対する化学放射線療法(CRT)後の再発に対して、定位照射(SBRT)を用いることで優れた局所制御が得られるが、重篤な副作用の発生リスクについて十分に留意する必要がある。

 

 解説

非小細胞肺癌(NSCLC)において初期治療が成功しなかった場合、次の治療をどうするのかという話題である。

非小細胞肺癌においては初期治療で化学放射線療法(CRT)が選択されることも多いが、当然ながら、すべての症例で治癒できるわけではなく、ある程度の割合で腫瘍の残存や再発が起こりうる。

その場合の治療というのはなかなか標準化されたものがなく、悩ましい場合が多い。

多くの場合は薬剤を変更しながら化学療法を継続していくという流れになると思われるが、この際の放射線治療の可能性について議論したものである。

すでに根治線量を投与している場合の追加の放射線治療というのは、重篤な副作用の発生リスクが非常に高まるため、実際に再照射を行うのはかなり危険な行為ではある。

ここでは非小細胞肺癌の初期治療後の再発に対する再照射の研究をいくつか紹介し、その治療の可能性について言及している。

多くの研究は定位照射(SBRT)を用いて再照射を行っており、局所制御については優れている(70‐90%の制御率)という結果であった。

もちろんすべての症例で治療可能というわけではなく、再発病変のサイズや位置などを十分に考慮したうえで実行する必要があり、ある程度適応に合致していたとしても重篤な副作用のリスクはそれなりに高くなると認識しておく必要がある。

肺野の特に末梢病変であれば再照射においてもまだ安全に照射可能であるが、中枢側病変においては30%以上の症例でGrade 3-4(入院以上、場合によっては呼吸器管理が必要)の副作用が出現したと報告している研究もある。

定位照射は、非小細胞肺癌における化学放射線療法後の再発において、治療の選択肢となりうるものであるが、その運用は慎重に行うべきであり、特に中枢再発での重篤な副作用発生については十分に留意すべきである。

参考文献

If at First You Don’t Succeed-Stereotactic Body Radiation Therapy for Recurrent Non-Small Cell Lung Cancer

 

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