放射線治療の不安を解消|患者さんからよくある質問を専門医が解説(副作用・生活・再発まで)
私が日常診療の中で、患者さんからよく質問される内容をまとめました。
放射線治療を受ける方の多くが疑問に思う点だと思いますので、少しでも参考になれば幸いです。
放射線治療は、手術や薬物療法(化学療法)と異なり、一般の方には分かりにくい部分が多い治療です。
そのため、事前に正しい知識を知っておくことが安心につながります。
放射線治療の費用、期間、副作用はこちら
放射線治療の費用
放射線治療の期間
- 放射線治療の副作用(まとめ)
- 1. Q.放射線治療でがんは完全に治りますか?
- 2. Q.放射線治療の効果はいつ分かりますか?
- 3. Q.放射線治療にかかる時間はどれくらいですか?
- 4. Q.放射線治療はなぜ毎日通う必要がありますか?
- 5. Q.放射線治療中に仕事はできますか?
- 6. Q.放射線治療は痛いですか?
- 7. Q.放射線治療は体に放射能が残りますか?
- 8. Q.治療直後に体調が悪くなることはありますか?
- 9. Q.放射線治療は年齢が高くても受けられますか?
- 10. Q.放射線治療は入院が必要ですか?
- 11. Q.化学療法と放射線治療の違いは?どちらか一方でも大丈夫?
- 12. Q.放射線治療と免疫療法は一緒にできますか?
- 13. Q.重粒子線やガンマナイフが気になります。受けられますか?
- 14. Q.治療中に休みが入っても大丈夫ですか?
- 15. Q.治療の中断や再開は可能ですか?
- 16. Q.治療回数は途中で変更されますか?
- 17. Q.1回目の費用が高かったのですが、毎回同じですか?
- 18. Q.髪の毛は抜けますか?
- 19. Q.お風呂に入っても大丈夫ですか?
- 20. Q.温泉や銭湯に行っても良いですか?
- 21. Q.治療中は運動は控えたほうが良いですか?
- 22. Q.タバコやお酒は控えたほうが良いですか?
- 23. Q.治療中に食べてはいけないものはありますか?
- 24. Q.照射している場所にクリームや軟膏は塗っても良いですか?
- 25. Q.治療終了後も通院が必要ですか?
- 26. Q.時間がたってから同じ場所に再度放射線を当てることはありますか?
- 27. Q.治療終了後はどれくらい経過観察を行いますか?
- 28. まとめ
- 29. この記事を書いた人
Q.放射線治療でがんは完全に治りますか?
A.がんの種類や進行度によって異なります。
放射線治療は、
・早期がん
・局所に限局したがん
では根治(完全に治る)を目指す治療として行われることが多いです。
例えば、
前立腺がん、頭頸部がん、子宮頸がんなどでは、手術と同等の治療効果が期待できる場合もあります。
一方で、進行がんや転移がある場合には、
・症状の改善
・生活の質の向上
・病気の進行を遅らせる
といった目的で行うこともあります。
👉 治療の目的は患者さんごとに異なるため、担当医に確認することが大切です。
Q.放射線治療の効果はいつ分かりますか?
A.基本的には「治療終了後」に評価します。
多くの方が最も気にされる点ですが、治療中に効果を正確に評価することは難しい場合がほとんどです。
その理由は、放射線によって腫瘍や周囲の組織に炎症が起こるためです。
この炎症は画像上で腫瘍との区別がつきにくくなることがあり、治療途中のCTやMRIでは、腫瘍が小さくなっているか判断できないことがあります。
また、例えば前立腺がんではPSAという血液検査の値を指標にしますが、治療によって一時的にPSAが上昇することがあります。
これは腫瘍が悪化したわけではないため、過度に心配する必要はありません。
一般的には、
👉 治療終了から1~3か月後にCTやMRIで評価することが多いです。
さらに、この時点でもまだ変化がはっきりしない場合があります。
放射線の効果はゆっくり現れるため、焦らず経過を見ることが重要です。
Q.放射線治療にかかる時間はどれくらいですか?
A.多くの場合、10~15分程度です。
施設によって多少異なりますが、一般的な放射線治療装置(リニアック)では、
・治療室に入ってから出るまで
👉 約10~15分程度
となることが多いです。
治療の流れとしては、
ベッドに寝る
位置合わせ(5~10分)
放射線照射(1~3分)
という形です。
実際の照射時間は意外と短いことが多いです。
ただし、以下の場合は時間が延びます。
・IMRT(強度変調放射線治療)
・SRT(定位放射線治療)
・照射部位が複数ある場合
特にSRTでは1回の放射線量が多いため、治療時間が長くなります。
Q.放射線治療はなぜ毎日通う必要がありますか?
A.正常な組織を守るためです。
放射線はがん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えます。
1回に強い放射線を当てると、副作用が強く出てしまうため、
👉 少しずつ分けて照射します。
また、
正常な細胞は回復力があるため、
間隔を空けることでダメージを回復できます。
一方、がん細胞は回復しにくいため、
この差を利用して治療効果を高めています。
寡分割照射の記事はこちら
最近では治療回数を減らして、通院負担を少なくする寡分割照射も増えてきました。
Q.放射線治療中に仕事はできますか?
A.可能です。
多くの方が通常の生活を続けながら治療を受けています。
ただし副作用や体力低下がある場合は、無理をせず調整が必要です。
Q.放射線治療は痛いですか?
A.治療自体に痛みはありません。
放射線は光のようなものであり、光が当たっても何も感じないのと同様に、放射線が当たる感覚も基本的にはありません。
Q.放射線治療は体に放射能が残りますか?
A.外から放射線を当てる治療では残りません。
一般的な放射線治療(リニアック)は、
体の外から放射線を照射します。
そのため
👉 治療後に体から放射線が出ることはありません。
家族や子ども、妊婦の方と接しても問題はありません。
ただし、
・密封小線源治療
など一部の治療では、一時的に注意が必要な場合があります。
Q.治療直後に体調が悪くなることはありますか?
A.基本的には、すぐに体調が悪くなることはありません。
「治療後に動けなくなるのでは?」と心配される方も多いですが、放射線治療は化学療法とは異なり、
👉 照射直後に急激に体調が悪くなることはほとんどありません。
放射線宿酔と呼ばれる、軽い倦怠感や眠気のような症状が出ることはありますが、通常は軽度です。
ただし注意点として、
・化学療法を併用している
・食事量が低下している
・体力が落ちている
などの場合は、放射線の直接的な影響ではなく、全身状態の変化によって体調不良が出ることがあります。
放射線宿酔の記事はこちら
Q.放射線治療は年齢が高くても受けられますか?
A.高齢の方でも安全に行えることが多いです。
放射線治療は体への負担が比較的少ないため、
手術が難しい高齢の方にも選択されることが多い治療です。
実際に、
80歳以上の患者さんでも治療を受けるケースは珍しくありません。
ただし、
・全身状態
・認知機能
・通院可能か
などを総合的に判断して決定します。
Q.放射線治療は入院が必要ですか?
A.多くの場合、通院で治療が可能です。
放射線治療は外来で受けられることが多く、日常生活を続けながら治療できます。
ただし、以下の場合は入院が必要になることがあります。
・特殊な治療
・施設の方針
・化学療法を併用する場合
そのため、事前に担当医へ確認することが大切です。
Q.化学療法と放射線治療の違いは?どちらか一方でも大丈夫?
A.役割が異なるため、併用すると効果が高い場合があります。
化学療法は、薬が血液に乗って全身に作用する
👉 全身治療
放射線治療は、照射した部分のみに作用する
👉 局所治療(手術と同じ考え方)
という違いがあります。
例えば、
・放射線 → 目に見える腫瘍を集中的に治療
・化学療法 → 体の中の見えない微小ながんにも対応
という役割分担があります。
このため、併用すると治療効果が高まる場合が多いです。
ただし、副作用もそれぞれ出るため、単独治療より負担が増えることがあります。
Q.放射線治療と免疫療法は一緒にできますか?
A.近年、併用されることが増えています。
免疫療法と放射線治療を組み合わせることで、
がんに対する効果が高まる可能性があると考えられています。
特に、
放射線によって免疫反応が活性化される
「アブスコパル効果」が注目されています。
現在も研究が進んでおり、
今後さらに重要な治療になる可能性があります。
アブスコパル効果の記事はこちら
放射線治療と免疫治療の併用でおこるアブスコパル効果について分かりやすく解説しています。
Q.重粒子線やガンマナイフが気になります。受けられますか?
A.専門施設への紹介が必要です。
多くの病院では、X線を用いたリニアック治療を行っています。
一方、
・重粒子線治療
・ガンマナイフ
などの特殊な治療は、実施している施設が限られています。
そのため、
👉 紹介状を持って専門施設を受診する必要があります。
ただし注意点として、
・必ず治療を受けられるとは限らない
・適応基準が施設ごとに異なる
・相談している間に治療開始が遅れる可能性がある
などがあります。
気になる場合は、まず主治医に相談することが重要です。
Q.治療中に休みが入っても大丈夫ですか?
A.可能な限り予定通りに治療を行うことが重要です。
放射線治療は、設定されたスケジュールで終えることが理想です。
治療が中断すると、がん細胞が回復する可能性があると報告されています。
イメージとしては、
👉 治療が1日延びるごとに効果が少しずつ低下する
と考えられています。
数日程度の休みは大きな影響がないことが多いですが、
2週間など長期間の中断は治療成績に影響する可能性があります。
そのため、多くの施設では、
・ゴールデンウィーク
・年末年始
などでも臨時で治療を行っています。
Q.治療の中断や再開は可能ですか?
A.原則として、途中で中断することは推奨されません。
上記の理由から、やむを得ない事情がない限り、治療の中断は行いません。
また、長期間休んだ後に再開しても、
👉 当初想定した治療効果が得られない可能性があります。
そのため、治療開始前にスケジュールをしっかり確認することが大切です。
Q.治療回数は途中で変更されますか?
A.基本的には変更されません。
放射線治療中は、効果を正確に評価することが難しいため、途中で回数を変更することは少ないです。
例外として、
・副作用が強い
・予定回数まで照射が困難
といった場合に、回数を減らして終了することがあります。
Q.1回目の費用が高かったのですが、毎回同じですか?
A.多くの場合、2回目以降は安くなります。
初回の費用が高い理由は、
・治療計画
・画像検査
・準備
などの費用がまとめて請求されるためです。
そのため、
👉 2回目以降は照射のみの費用となり、初回より下がることが多いです。
Q.髪の毛は抜けますか?
A.頭に放射線が当たる場合のみ抜けます。
放射線治療による脱毛は、照射された部分だけに起こるのが特徴です。
例えば、
・全脳照射(脳全体に放射線を当てる場合)
→ ある程度広い範囲で脱毛します。
ただし、化学療法のようにすべてが一度に抜けるというよりは、まだらに抜けることが多いです。
・脳転移へのピンポイント照射
→ 円形脱毛症のように一部だけ脱毛することがあります。
・頭頸部がんの治療
→ 首を照射する際に、襟足だけ抜けることがあります。
👉 頭に放射線が当たらない治療では、髪の毛が抜けることはありません。
全脳照射の記事はこちら
Q.お風呂に入っても大丈夫ですか?
A.基本的には問題ありません。
放射線治療中でも、入浴は可能です。
むしろ、皮膚を清潔に保つことは大切です。
ただし注意点があります。
乳がんなど皮膚に強い放射線が当たる場合には、皮膚炎が起こることがあります。
その場合は、
・長時間の入浴は避ける
・ぬるめのお湯にする
・シャワー中心にする
などが推奨されます。
皮膚炎があるときでも入浴を控える必要はありません。
汚れが残ると感染のリスクが上がるため、清潔を保つことが重要です。
放射線治療中の皮膚炎の記事はこちら
Q.温泉や銭湯に行っても良いですか?
A.治療中はできるだけ控えましょう。
理由は、感染リスクです。
温泉や銭湯は不特定多数の人が利用するため、感染症にかかる可能性があります。
特に皮膚炎がある場合は注意が必要です。
また、温泉ではまれにレジオネラ肺炎に感染することもあり、
👉 治療中断の原因になる可能性があります。
治療終了後も、皮膚炎が落ち着いてから利用するようにしましょう。
Q.治療中は運動は控えたほうが良いですか?
A.軽い運動であれば大丈夫です。
治療は長期間にわたることも多く、治療中に体力を落とさないように注意が必要です。
軽度の運動であれば、体力だけでなく、痛みや精神面にも良い効果があることが報告されています。
放射線治療中の運動の記事はこちら
Q.タバコやお酒は控えたほうが良いですか?
A.治療中は控えることを強くおすすめします。
理由は大きく2つあります。
① 副作用が悪化する
タバコやお酒は粘膜や皮膚の炎症を悪化させる可能性があります。
② 治療成績に影響する
特に喫煙は、治療中の成績が悪くなることが複数の研究で報告されています。
👉 少なくとも治療期間中は禁煙・禁酒が望ましいです。
Q.治療中に食べてはいけないものはありますか?
A.基本的には食べやすいものを優先してください。
放射線治療中は、栄養をしっかり取ることが重要です。
無理に制限する必要はありません。
ただし、以下の点には注意しましょう。
● 化学療法を併用している場合
免疫力が低下している可能性があるため、生ものは避け、火の通った食品を選ぶほうが安全です。
● 胃や腸が照射されている場合
消化機能が低下していることがあるため、
・生もの
・刺激物
・香辛料
は控えるほうが良いです。
● 頭頸部がんの治療中
口内炎や粘膜炎が起こることがあります。
その場合は、
・ゼリー
・麺類
・やわらかい食事
などが食べやすいです。
また、
・果物
・醤油
・酸味のある食品
はしみることがあるため注意が必要です。
Q.照射している場所にクリームや軟膏は塗っても良いですか?
A.基本的に問題ありません。
むしろ皮膚炎の予防・軽減のために、保湿は重要です。
以前は、軟膏やクリームを塗った状態で放射線を当てると、皮膚炎が悪化すると考えられていましたが、現在はその考えは変わってきています。
ただし、施設によって方針が異なることもあるため、担当医や看護師に確認しておくと安心です。
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Q.治療終了後も通院が必要ですか?
A.効果判定と副作用の確認のために必要です。
治療が終わっても通院が続く理由は、
・治療効果の評価
・再発の早期発見
・副作用のチェック
のためです。
追加で放射線を当てることは通常ありません。
Q.時間がたってから同じ場所に再度放射線を当てることはありますか?
A.原則として1回のみですが、例外もあります。
放射線の副作用は累積するため、同じ部位への再照射は慎重に判断されます。
例えば、
1回目:50Gy
2回目:30Gy
の場合、副作用は合計80Gy相当になる可能性があります。
そのため、多くの場合は再照射は行われません。
ただし、近年は放射線治療技術の進歩により、
👉 状況によっては再照射が可能なケースも増えてきています。
その場合は、経験豊富な専門施設で行うことが重要です。
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Q.治療終了後はどれくらい経過観察を行いますか?
A.多くの場合、5年が一つの目安です。
5年間再発がなければ、治癒と考えられることが多く、
多くの副作用もこの期間内に現れます。
ただし、
・前立腺がん
・乳がん
などは長期間経過してから再発することもあります。
そのため、10年以上フォローする場合もあります。
まとめ
放射線治療中は、日常生活に大きな制限はありませんが、
いくつかの注意点を知っておくことで安全に治療を受けることができます。
不安や疑問がある場合は、自己判断せず、担当医に相談することが大切です。
本記事が、放射線治療を受ける方やご家族の安心につながれば幸いです。
放射線治療の際の病院の選び方
この記事を書いた人
放射線治療専門医として、日常診療の中で患者さんやご家族から多くの質問を受けています。
本記事は実際の診療現場でよく聞かれる内容をもとに作成しています。
患者さんが安心して治療を受けられるよう、正確で分かりやすい情報提供を心がけています。
※本記事は一般的な情報であり、個別の治療方針は主治医と相談してください。





























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