転移性悪性黒色腫(メラノーマ)に対する、イピリムマブ・放射線治療併用によるアブスコパル反応について

2019年12月27日

2016 Nov 1;96(3):578-88. doi: 10.1016/j.ijrobp.2016.07.005. Epub 2016 Jul 15.

A Prospective Clinical Trial Combining Radiation Therapy With Systemic Immunotherapy in Metastatic Melanoma.

 

 悪性黒色腫(メラノーマ)は多くの癌腫の中でも予後不良の疾患である。
この論文は転移病変を有する悪性黒色腫に対して、抗-CTLA4抗体であるイピリムマブと放射線治療を併用して治療した論文であり、局所のみで無く転移病変についての治療効果も評価したものである。
アブスコパル反応は近年言われ始めた概念であり、局所治療を行うことで、その場での免疫反応が賦活化され、全身性に免疫効果が及ぶことによって、治療していない部分の病変についても治療効果が発揮されるというものである。もちろん、単純に局所に放射線を照射しただけではこの効果は見られず、今回のように抗がん剤等の薬剤を加えることによって、免疫の活性化等を引き起こし、効果を得るというものである。薬剤をしようしているため、当然その効果が全身性に及ぶわけではあるが、このアブスコパル反応は、放射線を照射していない病変についても、薬剤単独よりも治療効果が出るという点に有用性があり、今後さらに普及していく可能性がある治療法である。ただし、現段階ではまだまだ研究的な要素がつよく、実臨床に適応されるにはまだ時間が必要であろう。
今回の報告では、症例数は少ないものの、全体として比較的良好な治療成績が得られている。
興味深いのは、1回線量を増やして治療した群で、治療効果が良好であったという傾向が見られたことである。
通常の悪性黒色腫の治療においても、1回線量を増やして治療をするほうが、比較的治療成績が良好であったということは報告されており、免疫療法との併用においても、その傾向が見られたということである。
この論文ではまた、治療効果が良好であった群の、生物学的な要因についても検討している。
今後は患者個々のDNAやRNA解析が進むことで、よりオーダーメイド化された治療へと変化していくことが予想され、その流れの一つと考えられる。
まだまだ予後不良の悪性黒色腫ではあるが、今回の論文では比較的良好な治療成績が得られており、今後予後の改善も期待できると考えられる。

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