肺癌の定位照射後の再発の兆候は?

目次

1:CT検査による評価
2:PET検査による評価
3:まとめ
4:参考文献

CT検査による評価

肺癌の定位照射において、経過観察中の再発を疑う所見について検討した研究を紹介します。

32の研究を対象としたシステムレビューの結果です。

対象は全体で1726例で、そのうち再発は222例(13%)になります。

経過観察におけるCT検査の結果から得られた所見で再発を示唆するものは以下のものになります。

・辺縁が膨らんだ形態

・気管支透瞭像が消失している

・12ヶ月後以降で増大している

・線状の辺縁が消失している

・原発部における増大する陰影

・頭尾方向への増大

・片側性の胸水の出現あるいは増加

・持続的な陰影の増大

・新規発生した腫瘤

・CT密度の増加

・明らかなリンパ節の増大

・明らかな血管増生

・不均一な造影効果

以上の特徴のうち、3つ以上が当てはまるようであれば、再発の可能性が高いと言えます。

PET検査による評価

再発の評価にはCTだけでなく、PETを用いて行われる場合もしばしばあります。

PET検査は組織の糖代謝を画像化するものであり、腫瘍が残存している場合には、CTよりも明瞭に描出することができます。

いっぽうで、放射線治療後の状態は、放射線により炎症が起こっているため、炎症でもPETで描出されるため、炎症と腫瘍の残存の区別がつきにくい場合があります。

PET検査ではSUVという指標が評価に用いられます。

PET検査で再発を疑う所見は以下のものです。

・12か月後のPET検査でSUVmaxの低下が5%未満のもの(=十分にSUVmaxが低下していないもの)

・12か月後でSUVmaxが5以上あるもの、あるいはSUVmeanが3.44以上であるもの

以上の所見があれば再発が疑わしいと言えます。

まとめ

肺癌の定位照射において、再発を疑う所見を、CT検査、PET検査それぞれで紹介しました。

再発が早期に判明すれば、その後の治療により早くつなげることが可能です。

CT検査でフォローをする場合が一般的ですが、可能であればPET検査もあわせて実施することができればより正確に再発の判定を行えます。

参考文献

A Systematic Review Into the Radiologic Features Predicting Local Recurrence After Stereotactic Ablative Body Radiotherapy (SABR) in Patients With Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC)

Affiliations

広告