放射線治療後の骨折
目次
1:放射線治療後の骨折について
2:婦人科癌の放射線治療での骨盤骨折
3:放射線治療後骨折の治療や予防は?
4:参考文献
放射線治療後の骨折について
放射線治療は主にがん治療に用いられますが、その副作用の一つに骨がもろくなってしまうというものがあります。
これは体全体の骨がもろくなるわけではなく、照射された範囲の骨のみが影響します。
胸に照射されれば肋骨や胸骨が弱くなりますし、婦人科癌の治療であれば骨盤がもろくなります。
骨はもろくなってしまうと通常はあまり改善せず、弱い状態がそのまま持続するため、長期的に経過をみていくと骨折することも少なくありません。
婦人科癌の放射線治療での骨盤骨折
今回の研究は婦人科癌における放射線治療での骨折について検討したものです。
治療後5年間の経過で約15%に骨盤の不全骨折が認められました。
不全骨折に影響する因子として重要なのは、骨粗鬆症の有無、閉経後かどうか、糖尿病があるかどうか、でした。
これらの因子はいずれも骨が弱くなったり、副作用が強くなるといった影響が出るものです。
このような状態にある人は、放射線治療を受けた際に骨折するリスクが非常に高いと言えます。
骨折が見られやすい時期は、放射線治療後8ヶ月~39ヶ月の間となっており、長期間にわたって影響があることが分かります。
治療が終わって4年近くたってから骨折が見られることも稀ではないということです。
骨盤骨のなかで骨折が見られやすいのは仙骨で全体の60%を占めていました。
最近の放射線治療ではIMRTと言って病変に集中的に放射線を照射する技術も出てきていますが、今回の研究ではIMRTを用いても、従来の照射方法と比較して、骨折の頻度に大きな差は見られませんでした。
放射線治療後骨折の治療や予防は?
放射線治療後の骨折に対する治療は基本的には保存的な対応になります。
つまり手術などは行わず、投薬や安静で症状が改善するのを待つという形になります。
投薬としてはNSAIDSと言われる鎮痛薬を処方されるのが一般的です。
放射線治療後の骨折に対する明確なエビデンスのある予防は現在のところありませんので、こちらは今後の課題になってきます。
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