肺癌の定位照射では最大線量が高いほど治療成績が向上する

まとめ

末梢型の非小細胞肺癌における体幹部定位照射(SBRT)では照射野内の最大線量が高いほうが、局所制御や生存率が改善する。いっぽうで最大線量が高くても副作用は増加しなかった。

 

 解説

日本の大船中央病院からの報告である。

放射線治療の領域では大船中央病院はわりと有名な病院で、高精度治療に特化した施設である。

放射線治療の勉強会などでもよく講演をしているイメージがある。。

今回の論文も、講演会で発表されていた内容であるが、非小細胞肺癌に対する体幹部定位照射(SBRT)において照射野内の最大線量が高いほうが予後が良かったという報告である。

非小細胞肺癌におけるSBRTでは48Gyの4回照射や50Gyの5回照射が一般的に良く用いられる線量である。

ここでは50Gy/5回照射において、辺縁70-80%を低線量群、60%を高線量群としている。60Gy/5回照射では辺縁60-70%が高線量群。

高線量群では最大線量が83.3Gy、最大BEDが222.2Gyになるのに対して、低線量群では最大線量が62.5Gy、最大BEDが140.6Gyであった。

結果として、高線量群では低線量群に対して局所制御が優れる傾向にあり(有意差なし)、再発率や生存率では有意に優れているという結果であった。

また両群において副作用に大きな差は見られなかった。

今回の結果では、局所制御に有意差は示されなかったものの、再発率や生存率において高線量群が優れるというものであった。

本来であれば、局所制御も改善していればより説得力のある結果であったと言えるが、それでも十分に高線量投与の有効性を示している結果であると考えられる。

今後の研究において局所制御の改善に必要な要素が判明すればより治療成績の改善につながるものと期待される。

参考文献

Stereotactic Body Radiation Therapy With a High Maximum Dose Improves Local Control, Cancer-Specific Death, and Overall Survival in Peripheral Early-Stage Non-Small Cell Lung Cancer

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