データベースを利用した、前立腺癌におけるIMRTと3DCRTの副作用の比較

2019年2月26日

2017 Dec 1;99(5):1253-1260. doi: 10.1016/j.ijrobp.2017.07.040. Epub 2017 Sep 1.

National Population-Based Study Comparing Treatment-Related Toxicity in Men Who Received Intensity Modulated Versus 3-Dimensional Conformal Radical Radiation Therapy for Prostate Cancer.

 

データベースを利用した、前立腺癌におけるIMRTと3DCRTの副作用の比較。

今回の研究は、データベースを利用して、大規模な患者群を対象に、前立腺癌におけるIMRTと3DCRTでの副作用を比較したものである。

IMRT群は約7000例、3DCRT群は約16000例を登録している。

 

結果として、消化管の副作用はIMRT群で有意に少なかったが、泌尿器系の副作用は両群で大きな差はなかったというものであった。

 

IMRTは複雑な照射野を作成し、周囲のリスク臓器の線量を減らす一方で、必要な領域には十分な線量を投与できるという照射方法である。
前立腺癌においては、周囲の小腸、大腸や膀胱の線量を、通常の放射線治療よりも低くすることができる。

 

今回の結果では、この恩恵として消化管の副作用については減少が見られたが、泌尿器系の副作用については効果が十分ではなかった。
泌尿器系の副作用については、尿道の線量も重要であるが、尿道自体は前立腺内を走行するため、IMRTであろうと通常の放射線治療であろうと、尿道線量は大きく変わらない。
特殊なIMRTとして尿道の線量を下げるというのも無いわけでは無いが、一般的ではない。今回の結果は、尿道線量が両群で変わらないことに起因しているのかもしれない。

 

IMRTは通常の放射線治療と比較すると費用の高い高額治療である。
その根幹として副作用を低減して良好な治療成績が得られるという背景があるだけに、通常の治療と比較して十分に副作用の低減が実現できていないのであれば、費用対効果の議論を今後深めるべきであると筆者は主張している。

 

IMRTで減らせる副作用は上記のものだけではないので、この結果のみで、IMRTの費用対効果が劣っているとは言えないが、泌尿器系の副作用はQOLにおいて重要な要素であり、低減できる可能性についても今後検討していく必要があると考えられる。

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