前立腺癌において定位放射線治療は標準治療になりえるか
目次
1:前立腺癌における定位照射とは
2:システムレビューの紹介
3:まとめ
4:参考文献
前立腺癌における定位照射とは
前立腺癌はその進行度合いによって、さまざまなリスク、あるいはステージに分けられますが、その多くの段階で放射線治療が標準的な治療法となっています。
一般的には35回~39回程度を照射することが多いですが、最近では治療回数を減らした寡分割照射というものも出てきており、その場合には20回~25回程度で治療が終了するものもあります。
定位照射というのは、この寡分割照射よりもさらに回数を減らし、4回~10回程度で治療を終えるものを言います。
(極端なものでは1回で治療が終了するものもあります)
この場合、1回に照射する線量も、通常の量よりもかなり多くなり、1回で5~10Gy程度を照射します。
治療回数が少なくなれば治療期間も短くなるため、通院の負担が軽減されます。
また、医療経済的にも費用が減少することが期待できます。
ただ、現時点では前立腺癌の定位照射は広く普及しているとは言えません。
これは前立腺癌に対する定位照射のエビデンスが十分ではないことが一つの要因として挙げられると思います。
システムレビューの紹介
ここでは前立腺癌の定位照射に関連した研究をまとめたシステムレビューを紹介します。
システムレビューは通常の臨床研究ではなく、様々な研究結果をまとめて評価した研究で、一つ一つの研究に比較してエビデンスレベルが高くなります。
ここでは38の前向き試験を対象にし、合計で約6000例のデータをもとに解析が行われています。
照射回数の中央値は5回(4-9回)、照射線量の中央値は7.25Gy(5-10Gy)でした。
結果として、5年および7年の無再発生存率はそれぞれ95.3%、93.7%でした。
また副作用についてはGrade 3相当の泌尿器系あるいは消化器系の副作用の発生率は、それぞれ2.0%、1.1%でした。
照射線量を増やすことによって、病気の制御率は上昇する傾向にありましたが、いっぽうで副作用については強くなる傾向が見られました。
まとめ
前立腺癌の定位照射は、システムレビューにおいて良好な治療成績が見られており、これまでの標準治療と比較しても見劣りしない成績でした。
今後、定位照射が標準治療の一つの選択肢となる可能性は十分にあると考えられます。
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