脳転移術後に対する追加の定位放射線治療
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2017 Dec 1;99(5):1179-1189. doi: 10.1016/j.ijrobp.2017.08.014. Epub 2017 Aug 19.
Hypofractionated Stereotactic Radiation Therapy to the Resection Bed for Intracranial Metastases.
Keller A1, Doré M2, Cebula H3, Thillays F2, Proust F3, Darié I4, Martin SA5, Delpon G6, Lefebvre F7, Noël G8, Antoni D9.
脳転移術後に対する追加の定位放射線治療。
脳転移は癌治療においては比較的よく遭遇するものであるが、その治療方針はじつに多様である。
脳転移の個数だけでなく、全身状態によっても方針は変わってくるからである。
小さい小数の転移であれば、定位放射線治療のみで十分に治療可能である。
一方で、腫瘍のサイズが大きくなれば、放射線治療での対処は難しく、可能であれば手術にまわることになる。
脳転移の術後に対する追加の放射線治療は、どのようなものが適切なのかはまだまだ議論のあるところであるが、今回の研究では術後に対して、短期間の定位放射線治療を施行している。
今回の研究では、15ヶ月のフォロー期間で、6ヵ月後、12ヵ月後の局所制御率はそれぞれ、93%、88%であった。
脳転移の局所制御としては十分に良好であると考えられる。
局所制御率を悪化させる要因としては、照射範囲が広いもの、予後スコアの悪いもの、髄膜に接しているものが有意な指標であった。
30%の患者ではその後、全脳照射が施行されており、41%の患者で、再度定位放射線治療を施行されている。
また、放射線治療後の脳壊死は約19%で見られており、テント下の病変がリスク要因であった。
術後の放射線治療については対応に悩む場面も多い。全脳照射はその後に長期生存をした場合には認知機能障害が大きくQOLを下げる要因となるため、個人的には積極的には勧めたくないと考えている。
短期の定位照射であれば、患者への追加の負担も少なく、副作用も限定されるため、今後の重要な治療選択肢のひとつとなるのではないだろうか。
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