日本の放射線治療の現状②:放射線治療を選択するのは誰なのか

2019年3月27日

前回は日本における放射線治療専門医の偏在について書きました。

 

日本における放射線治療の現状としては、他に、放射線治療を選択される状況がまだ少ない、という点が挙げられるかと思います。

たしかに日本において放射線治療の件数は右肩上がりに増えてはいます。しかしながら、まだまだ放射線で治療可能な患者さんが、実際には治療を受けられていないという現状があると日々感じます。

 

これは前回の専門医の数が十分ではないという話とも関連します。これは特に医師数が足りていないような地域では放射線治療自体が行われておらず、実施したくてもできないという現状があります。一方で都市部においても放射線治療が選択される状況で、適切に選択されないという場面もあります。

 

その一つの要因としては、放射線治療がまだ十分に他科の先生に認知されていない可能性があるというものです。これは我々放射線治療医の努力不足という側面もあり、より積極的に発信していく必要があります。いっぽうで最近では、疾患ごとのガイドライン作成も進んできており、どこの病院においても標準的な治療が受けられるように整備されてきています。そのため、ガイドラインから大きく逸脱した治療を選択する機会は減ってきており、適切に放射線治療が選択されるようになってきているといえます。

 

もう一つの要因は非常に微妙な話題となりますが、多くのがん治療において、最初の窓口は放射線治療科ではないという問題です。

たとえば、検診のレントゲンで肺に影が見つかった場合、まずは呼吸器内科に受診してさらなる検査を受けます。そして最終的に肺癌という診断がついた場合、治療方針が検討され、必要があれば放射線治療科に紹介される、という流れになります。

つまり、多くの場合、放射線治療科に受診する際にはすでに治療方針が決定されているのです。

 

なぜこの問題が微妙かというと、仮に癌で外科に受診した場合に、手術と放射線治療が同等の治療成績であれば、外科の医師なら手術を勧める可能性があるということです。放射線治療に関してはあまり説明を受けないかもしれません。どこまで治療の選択肢が提示されるのかは、その医師によって変わる可能性があるのです。もちろんこれは逆の場合もあり、放射線治療医が放射線治療を勧めるということも考えられますが、上にも書いたように放射線治療科が入り口となることは少ないことから、実際にそうなるのは殆どないといってよいでしょう。

 

最近では、病院内でカンファレンスが開かれる機会も多くなり、複数の診療科で治療方針を相談することができるようになっているため、上記のような状況は少なくなるでしょうが、無いとは言えないと思います。

医師がすべての情報を提供しているわけでは必ずしも無いため、可能であれば自分自身でも情報収集をする姿勢が必要だと感じます。

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