前立腺癌に対する外照射と小線源治療の併用

まとめ

前立腺癌に対する放射線治療において、外照射と小線源治療を組み合わせた場合、単独療法と比較して、LDRでは腸管および尿路の副作用が強く、HDRでは尿路の副作用が強かった。HDR併用群では、予後改善効果が見られた。

 

 解説

5万例以上の症例を対象とした比較的大規模なデータ解析の報告である。

対象は中~高リスクの前立腺癌となっている。

前立腺癌の治療は様々な選択肢があり、特に低リスクにおいては外照射や小線源治療、手術あるいはアクティブサーベイランスなどがある。

リスクが高くなると手術での治療成績が落ちる傾向にあり、ホルモン治療と外照射を併用した治療や、外照射と小線源治療の併用といった治療が行われている。

外照射に小線源治療を併用することで治療成績が改善することは以前から報告されているが、強い治療となるぶん、副作用も強くなる傾向にある。

また、小線源治療にはLDRと呼ばれる線源を永久に埋め込む方法と、HDRと呼ばれる、比較的強い線源を一時的に前立腺内まで挿入し、治療後は体内に残らないという方法がある。

LDRは弱い線量を長期間持続的に照射し、HDRは短期間に大線量を投与するイメージである。

LDRのほうが以前から広く行われており、HDRは最近になって広がりを見せている治療になる。

小線源治療じたいがどこでも受けられるという治療ではなく、比較的高度な治療を行っている、大学病院や大規模病院に限定されている。このため、HDRを受けられる病院というのはさらに限定された医療施設となる。

今回の報告では、外照射に小線源治療を併用することで、LDR群においては腸管および尿道の副作用が増える傾向にあり、HDR群においては尿道の副作用が多い傾向が見られた。

また、治療成績についてはHDR併用群で、外照射単独群と比較して有意に生存率の改善が見られた。

これまでの研究においてもHDRの有効性は示されており、今後HDRの小線源治療がさらに広がっていく可能性は十分にあると考える。

参考文献

Impact of High-Dose-Rate and Low-Dose-Rate Brachytherapy Boost on Toxicity, Functional and Cancer Outcomes in Patients Receiving External Beam Radiation Therapy for Prostate Cancer: A National Population-Based Study

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