足底筋膜炎におけるステロイド注射に放射線治療を加えたときの有効性
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2015 Jul 1;92(3):659-66. doi: 10.1016/j.ijrobp.2015.02.009. Epub 2015 Apr 28.
Prospective Randomized Comparison of the Effectiveness of Radiation Therapy and Local Steroid Injection for the Treatment of Plantar Fasciitis.
足底筋膜炎におけるステロイド注射に放射線治療を加えたときの有効性。
今回の論文は悪性腫瘍ではなく、炎症が対象である。
放射線治療医にはよく知られた話ではあるが、放射線には抗炎症作用がある。
その機序は実際には良く分かってはいないのだが、骨転移に伴う疼痛に対して放射線治療が有効であるのはこの作用を利用している。
今回はこの抗炎症作用を利用して、足底筋膜炎を治療するというものである。
この研究では足底筋膜炎に対してステロイド投与のみを行う群と、ステロイド投与に放射線照射を追加する群を比較している。
放射線治療は総計6Gyを2週間あるいは3週間かけて照射するものである。
一般の放射線治療が50-60Gy程度を照射するので、かなり少ない量である。
もちろん悪性腫瘍の治療というわけではなく、高線量を投与すれば副作用も問題となるため、効果の期待できる、可能な範囲で少ない量となっている。
結果としては、放射線治療の追加群で、治療成績が良好であり、次の治療が必要となるまでの期間も、放射線治療群で長かった。
ステロイド投与は比較的短期間の効果しか期待できず、放射線治療を加えることで、症状緩和期間の延長が期待できるというものであった。
また、投与線量はごく少量であるため、問題となるような副作用も見られなかった。
足であれば周囲に重要臓器も無いため、比較的安全に放射線照射が行えると考える。
投与部位はあるていど限定されるが、放射線の抗炎症作用を利用した治療というのも、難治性の症例に対しては有効であると思われる。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません