前立腺癌におけるCCPスコアとは

目次

1:CCPスコアとは
2:CCPスコアの有用性
3:まとめ
4:参考文献

CCPスコアとは

前立腺癌の治療においてCCPとよばれる指標があります。

正式にはcell cycle progression (CCP)スコアと呼ばれるものです。

これはRNA情報をもとに測定されるスコアであり、前立腺癌患者の予後を規定する新たな因子として期待されているものです。

前立腺癌においてはNCCNガイドラインに提示されているように、低リスク、中リスク、高リスクに分類するのが一般的であり、これはT分類やPSA、病理検査結果から構築されています。

このリスク分類が広く用いられているのは、やはりその結果が強く予後と相関しているからです。

特にその中でも病理検査結果であるGleasonスコアはかなり予後と相関すると個人的には感じています。

いっぽうで、長らくこれに変わる予後指標が存在しませんでした。

そんな中で、最近のRNA研究から導き出されたCCPスコアが、新たな予後予測因子として有用ではないかという研究がいくつか出てきています。

CCPスコアの有用性

CCPスコアは特に治療後の遠隔転移のリスク評価に有用であると報告されています。

前立腺癌の治療後は、基本的に採血でPSAを測定するしか有用な評価方法がありませんでした。

それに対して、CCPスコアを用いることで、遠隔転移リスクを評価することができ、仮にリスクが高い場合には、その後のホルモン治療を追加あるいは延長するといった提案が可能になります。

結果として、前立腺癌患者の予後改善につながることが期待できます。

ただ、個人的にはまだまだ十分な信頼性は構築できていないのではないかと感じています。

この研究で示されているROC解析の結果ではCCPスコアのAUCは0.69でした。

AUCは検査の有用性・正確性を示すものです。

AUCが0.5であればコイントスと同じで、やってもやらなくても影響がない検査ということになります。

個人的な感覚では、AUCが0.8以上であれば十分に検査の正確性が担保されていると考えられます。

AUCが0.7台であればまあまあという感じです。

AUCが0.6台というのはやや正確性に疑問符がつきます。

通常の論文であれば、AUCが0.6台の研究結果というのはなかなかアクセプトが厳しいレベルの結果だと感じます。

個人的にはそれだけでリジェクトされても不思議はないです。

ただ、現実的にはこのCCPスコアのAUC0.69というのはこれまで報告されているどの指標よりも高いのも事実です。

CCPスコアは前立腺癌患者の治療後の転移リスク評価に有用である可能性がありますが、個人的にはもう少しエビデンスを積み上げていく必要があるのではないかと考えています。

まとめ

CCPスコアは前立腺癌の予後予測における新しい指標のひとつです。

特に治療後の転移リスクの評価に有用であることが期待されています。

ただ、個人的にはまだエビデンスは充分ではないと考えています。

参考文献

Personalized Medicine in Localized Prostate Cancer: Are We There Yet?

Affiliations

広告