PSMA-PETの有用性について

目次

1:PSMA-PETとは
2:PSMA-PET検査の有用性
3:PSMA-PET検査への期待
4:参考文献

PSMA-PETとは

PET検査というのは核医学検査のひとつです。

一般的によく知られているのはFDGを用いたPET検査だと思います。

これは体内の糖の利用を可視化するものであり、腫瘍細胞では糖の消費が亢進しているため、腫瘍細胞をより明瞭に描出できる検査です。

PET検査は使用薬剤を変えることで、糖の代謝だけでなく、他の物質についても評価をすることができます。

PSMA-PET検査はその中のひとつで、前立腺癌で上昇するPSAを可視化することのできる検査です。

PSMA-PET検査を用いることで、前立腺癌の治療後再発を従来の検査よりも鋭敏に発見することができると期待されています。

ただ、日本ではこの検査はまだ保険適応されていないため、研究機関以外ではなかなか受けることが困難な検査となっています。

PSMA-PET検査の有用性

PSMA-PET検査と従来のCTやMRIによる検査との有用性を比較した研究を紹介します。

多施設共同研究によって、合計で79の再発症例において有効性を検討しています。

従来の検査を用いた評価では、79例中、前立腺内再発が見られたのは38例(48%)、領域リンパ節再発が見られたのは9例(11%)、遠隔転移が見られたのが12例(15%)、病変が指摘できなかったものは26例(33%)でした。

PSMA-PET検査を用いた評価では、79例中、前立腺内再発が見られたのは38例(48%)、領域リンパ節再発が見られたのは21例(27%)、遠隔転移が見られたのが24例(30%)、病変が指摘できなかったものは8例(10%)でした。

オリゴ転移と判定された症例は、従来検査で8例(10%)であったのに対してPSMA-PET検査では21例(27%)でした。

以上の結果から、PSMA-PET検査は従来の検査よりも、再発病変が同定できないということが少なくなっています。

つまり、従来の検査では見逃されていた病変をPSMA-PET検査では同定することができるということです。

また、オリゴ転移の検出率が上がっており、これは積極治療を行うことにより長期生存が期待できる症例が増えるということで、予後の改善にも大きく寄与できると考えられます。

PSMA-PET検査への期待

PSMA-PET検査は前立腺癌の再発診断において非常に有用な検査手段と言えます。

現時点では、日本では保険適応されておらず、PSAの上昇が見られ、CT検査などで再発病変が不明であれば、ホルモン治療などを継続するしか選択肢がない状態です。

PSMA-PET検査が可能になれば、従来の検査では見過ごされている病変についても同定することができ、より積極的な治療を行える可能性が増えます。

今後、高齢化が進み、前立腺癌をしっかりとコントロールすることは高齢者の生活において非常に重要な意味を持ちます。

医療費の問題は避けては通れない議論ではありますが、日本でもPSMA-PET検査がより気軽に受けられる未来に期待したいです。

参考文献

A Prospective Study of 18F-DCFPyL PSMA PET/CT Restaging in Recurrent Prostate Cancer following Primary External Beam Radiotherapy or Brachytherapy

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