アメリカでの男性育児休暇について

目次
1:アメリカの育児休暇における背景情報
2:育児休暇取得の実際
3:まとめ
4:参考文献
アメリカの育児休暇における背景情報

日本でも男性育児休暇の制度が導入されて随分たちますが、実際に頻繁に利用されているとは言えないのではないでしょうか。
大企業などでは男性の育児休暇も取得するように、逆に圧力があるかもしれませんが、医療職においてはまだまだ普及しているとは言えないと思います。
今回はアメリカにおける男性育児休暇の現状についての話題です。
日本とアメリカでは働き方や夫婦のあり方も大きな違いがあります。
今回紹介する内容はアメリカの男性放射線治療医を対象にした調査になります。
基礎的な情報としては、結婚しているのは85%で、同居は5%、単身者が9%でした。
単身者でも育児休暇が取得できるというのが驚きではあります。
その他には不妊に関しての問題があったのが18%と、アメリカでも不妊は大きな問題と言えそうです。
パートナーの就業状況については、フルタイムが62%、パートタイムが8%とそれなりに高い割合となっていました。
調査の対象となった男性医師が働いている病院は、大学病院のようなアカデミックセンターが74%と大半を占めており、その他の病院が15%、個人医院が12%となっていました。
妊娠・出産の時期はまだ若手の時期と考えられ、そのような時期には大学病院のようなアカデミックセンターに在籍する傾向があることから、このような結果になっているのではないかと思います。
育児休暇取得の実際

実際の男性医師の育児休暇の取得についてです。
勤務施設から提示されている休暇の中央値は4週間で、短いものは0.5週間、長いものは無制限というものでした。
いっぽうで、実際に取得された育児休暇は、中央値が2週間で、短いものは0.5週間、長いもので12週間でした。
提示されているものと、実際に取得されたものが異なるのは、日本でもあり得る話であり、アメリカでも変わらないのだなという印象です。
また、半数の男性医師はより長く育児休暇を取っておけばよかったと回答しています。
日本よりも進んでいると考えられるアメリカでの男性育児休暇についてですが、明確に規定されていない病院も少なくなく、またその期間についても病院ごとで大きな差がありました。
そして、4分の1の医師については提示された休暇よりも短い期間しか休みを申請していませんでした。
診療科による男性育児休暇の取得率は、やはり外科系で低く、一般外科や産科では50%程度です。
眼科や泌尿器科では70%~80%程度の取得率と報告されています。
放射線科や皮膚科でも80%程度であり、家庭医では95%でした。
診療科による傾向も日本と似たような感じがあるなという印象です。
女性の放射線治療医を対象とした育児休暇についての調査では、約20%の女性医師が、育児休暇についての規定が無いか、あっても1か月以下と回答しています。
また育児休暇の取得に関して、短く取るようにというプレッシャー感じるかどうかの調査では、女性で15%程度が、男性で25%程度がプレッシャーを感じると回答しています。
国は違いますが、カナダではレジデントは37~62週間の育児休暇を取得することが可能であり、その間の給与補償は州によって異なるようです。
まとめ
今回はアメリカにおける男性の育児休暇について紹介しました。
日本よりも男性育児休暇については進んでいる印象はありますが、アメリカでも休暇期間を短くするようなプレッシャーは少なからずあるようです。
また仮に取得できても2~4週間程度ということで、無いよりは良いと思いますが、それほど長期ではない印象です。
診療科によっての取得率の傾向が日本と似ているのも興味深い結果でした。
参考文献
From Beaming Cancer to Beaming Parent: Paternity Leave Experiences in Radiation Oncology
- PMID: 35500797
- DOI: 10.1016/j.ijrobp.2022.04.031





















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