腫瘍・臓器のコンツーリングは大事という話

目次

1:コンツーリングとは
2:コンツーリングの重要性
3:まとめ
4:参考文献

コンツーリングとは

今回は少し専門的な話題になります。

放射線治療において、コンツーリングという作業があります。

コンツーリングは、CT上で腫瘍や臓器の輪郭を描くことです。

最近の放射線治療は、コンピューターを用いて、投与線量を計算していきますが、その際の基準となる腫瘍や臓器の輪郭は医師あるいは技師が描きます。

これが正確に描けていないと、照射自体も正確に行えないですし、線量の評価もできなくなります。

なので、放射線治療においてコンツーリングというのは、治療の正確性を担保する重要な工程なのです。

今回紹介する研究はこのコンツーリングが治療結果に及ぼす影響を評価したものになります。

コンツーリングの重要性

この研究では、2011年~2014年の間で治療された344例の前立腺癌症例を対象としています。

結果として、この研究では当初設定された基準から逸脱しコンツーリングされたものが約半数に見られました。

この逸脱は臓器の輪郭だけでなく、治療対象である前立腺の輪郭描出でも高頻度に見られました。

そして、結果として、コンツーリングの逸脱が見られた症例では、有意に副作用の発生率が高いという結果でした。

更には、統計学的に有意ではなかったものの、コンツーリングの逸脱が見られた例では、無再発生存率が悪くなる傾向が見られました。

まとめ

以上の報告から、臓器および腫瘍のコンツーリングは放射線治療において重要であり、副作用の発生率や無再発生存率にも影響することが示唆されました。

近年では、AIを用いた自動輪郭抽出も可能となっていますが、AIの提示する結果をそのまま鵜吞みにするのは危険であり、専門医が充分に検討して治療に用いる必要があると考えます。

可能であればMRIなどの他のモダリティも組み合わせて評価できる仕組みが望ましいと考えます。

参考文献

Adherence to Contouring and Treatment Planning Requirements Within a Multicentric Trial: Results of the Quality Assurance of the SAKK 09/10 trial

Affiliations

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