放射線治療から1日2回照射が無くなる日はくるのか
まとめ
解説
放射線治療の中には、1日に2回照射を行うという治療がある。
通常の放射線治療であれば1日1回のみだが、朝と夕の2回照射をするもので、それぞれの照射は8時間あけて行う必要がある。
通常は1回のものを2回あてるというのは、それだけ短期間に集中して多くの放射線を当てたいという目的があるからである。
以前にはそれなりに行われていたのかもしれないが、現在は肺癌の中の小細胞肺癌や骨髄移植前の全身照射など、一部疾患のみに限局して行われている。
これは過去の研究で、小細胞肺癌に対しては1日1回照射よりも2回照射のほうが成績が良かったためで、現在まで標準治療となっている。
1日2回照射は有効な領域もあるものの、やはり2倍分の手間がかかるため、患者本人にとっても、医療者側にとっても負担があるものとなっている。
今回紹介する論文では、1日1回の適度な(やや緩やかな)寡分割照射を行う治療と、1日2回照射を比較したものである。
1日2回照射は標準的には1回1.5Gyを1日2回、計30回(15日)行うものである。
ここでの寡分割照射は65Gyを25回にわけて照射するもので、1回に2.5Gyを照射している。
結果として、1日1回の寡分割照射群のほうが2回照射群と比較して局所制御に優れており、副作用も同等程度であった。
今後の研究の進展にもよるが、小細胞肺癌において、今回のような寡分割照射が1日2回照射と治療成績が大きく変わらないのであれば、1日1回照射が2回照射に代わって広まっていく可能性は十分にあるのではないかと考える。
上にも書いたように、1日2回照射はどうしても手間や負担面でのデメリットがあるため、1日1回照射でよいのであればそちらに変えていきたいと考える医療者は少なくないのではないかと思われる。
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