放射線治療領域で2021年中において注目度の高かった論文

 

 解説

2021年中で注目度の高かった論文を紹介する投稿である。

これはIJROBP(通称Red journal)という放射線治療領域で最も権威のある雑誌の一つに投稿された論文の中で、2021年中に注目度が高かったものを分析したものである。

興味深いのは、通常こういった紹介の場合には引用件数やダウンロード数でランキングする場合が多いが、今回はSNSでの注目度も示している点である。

最近になり、SNSはより身近な存在となり、SNSを通して知るような情報も多くなってきていると感じる。

ニュースサイトをより簡便にしたようなイメージである。

一般的なニュースサイトに比較するとSNSは簡便な分、情報のソースが曖昧な場合も多く、その内容を鵜呑みにするのは要注意であるが、広く情報を伝えるという意味では非常に有用な手段であると考える。

論文のSNSにおける注目度をここで取り上げているのも、SNSの役割が大きくなってきている影響であると考えられる。

まず、引用論文のランキングにおいては、定位照射の話題が多かったようである。

引用されるということはそれだけ学問的な興味の高い内容であり、やはり近年では定位照射の有用性や需要の高まりから、注目されている話題であることがうかがわれる。

その他の話題では、乳癌の大規模臨床試験や、粒子線治療、免疫療法が引用されているという傾向があった。

2021年中にTwitterで多くツイートされた論文は、COVID-19や運動療法、腫瘍のコンツーリング(描画)、定位照射、臨床研究、研修制度などについてであった。

引用文献に比べると、SNSはより一般的な議題・問題が取り上げられやすい傾向にあると思われる。

Facebookでは患者のQOL(生活の質)や副作用といった内容が議論される傾向にあり、同じSNSでもTwitterよりは専門的な内容が取り上げられているようであった。

IJROBPといった比較的権威のある雑誌においてもSNSへの影響を重視しているというのが非常に興味深い内容であった。

また、通常の引用と比較して、SNS上で好まれる内容はまた違った論文となる傾向があり、こういった権威ある雑誌においてもSNSへの影響を考慮していくのであれば、採用される論文の傾向も変わってくるのかもしれないと個人的には感じた。

参考文献

The Top Circulated Red Journal Articles From 2021: Views, Citations, Tweets, Downloads, and Shares

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