放射線治療の副作用:副作用の一般的事項

2018年1月30日

今回は放射線治療の一般的な事項に関して書いていこうと思います。

それぞれの細かい副作用に関してはまた別項で書いていきたいと思います。

 

副作用の一般的な事項と書きましたが、放射線治療の副作用の機序も細かく書いていくと非常にややこしくなってしまうため、わりとざっくりとした形で書いていこうと思います。

 

放射線治療は基本的に腫瘍細胞に対して放射線を照射していきますが、どのような治療方法であっても腫瘍の周囲に存在する正常組織にもある程度の放射線が照射されていきます。正常組織に放射線が照射されることで細胞が障害され、その結果、副作用として発現するわけです。

なので、副作用は基本的に放射線が照射される範囲に依存して出てきます。

頭を照射すれば、頭の副作用が出てきますが、胸の副作用が出てくるわけではありません。

逆に胸を照射しても、頭の副作用、たとえば脱毛など、が出てくるというわけではないです。

どのような副作用が出てくるかは、どこに放射線があたっているのかを知っておくとある程度は予想できるものになります。

 

放射線の副作用は大きく分けると、身体的影響と遺伝的影響に分けられます。

遺伝的影響とは放射線照射によって与えられたDNAダメージが、その子孫にまで引き継がれるような状況のことですが、実際にヒトにおいてそのような影響が確認されたということは無いため、今回はこちらについては特に触れません。

実際に副作用として問題となるのは身体的影響のほうになります。

身体的影響はさらに急性影響(照射中~照射後数ヶ月)と晩発影響(照射後数ヶ月以上経過してから)に分けられます。特徴としては急性影響は比較的頻度が高く、多くの方が経験されるものですが、ある程度の期間がたつと症状が落ち着いていく場合が多いです。

一方で、晩発影響は頻度は低いですが、実際に起こってしまうと、症状の改善が難しいのが特徴といえます。

実際の治療において、悩まされることが多いのは急性影響のほうですが、起こってしまうと後々問題になるのは晩発影響ということになります。なので、放射線治療が終わったあとも、その影響が遅れて出てこないかどうか注意しておく必要がありますし、自分では特に関連がなさそうと思っていても、じつは放射線治療が影響している症状ということもありえます。

 

おもな急性影響と晩発影響を以下に挙げておきます。

急性影響:血球減少、皮膚炎(発赤、びらん)、脱毛、粘膜炎、口腔乾燥、味覚障害、結膜炎、角膜炎、肺炎、食道炎、腸炎(下痢など)、膀胱炎(頻尿、残尿感など)など

 

晩発影響:骨髄繊維化、皮膚の色素沈着、毛細血管拡張、永久脱毛(高線量の場合)、口腔乾燥、味覚障害、甲状腺機能障害、白内障、肺線維症、腸閉塞、血便、血尿、肝機能障害、腎機能障害、脳壊死、不妊、二次発癌(白血病やその他の固形癌)など

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