肝臓転移に対する放射線治療(SBRT) 短期間で終わる新しい治療の可能性

2022年10月2日

肝臓転移に対する治療は、これまで手術が中心でした。しかし近年、放射線治療の進歩により、短期間で高い効果が期待できる治療が登場しています。

本記事では、体幹部定位照射(SBRT)という放射線治療について、最新の研究結果をもとに解説します。

肝臓転移とは

肝臓転移とは、大腸癌や肺癌など他の臓器のがんが肝臓に広がった状態です。

特に多いのは
・大腸癌
・肺癌
などです。

可能な場合は手術が第一選択となることが多いですが、
・手術が難しい
・体力的に負担が大きい
などの理由で、放射線治療が選択されることもあります。

体幹部定位照射(SBRT)とは

体幹部定位照射(SBRT)は、通常の放射線治療よりも1回の線量を増やすことで、治療回数を減らす方法です。

通常の放射線治療

・約25回
・合計50Gy程度
・約5週間

SBRT

・3〜12回
・より高線量
・治療期間が短い

つまり、短期間で強力な治療が可能という特徴があります。

多施設共同研究の結果(500例以上)

オランダとベルギーによる共同研究では、500例以上の肝臓転移に対するSBRTの結果が検討されました。

治療方法は以下のように複数のスケジュールが用いられました。

・18〜20Gy × 3回
・11〜12Gy × 5回
・7.5Gy × 8回
・5Gy × 12回

病変の位置や施設によって治療回数は異なりますが、いずれも通常治療より短期間で終了します。

結果

・良好な治療成績
・重篤な副作用は少ない

これにより、SBRTは安全で有効な治療法であることが示されました。

単回照射(1回のみ)の超高線量治療

さらに近年では、1回のみの高線量照射も研究されています。

この方法では、
・35〜40Gyを1回で投与
・治療は1日で終了

という非常に短期間の治療が行われます。

メリット

・通院回数が少ない
・短期間で終了
・強力な治療効果が期待できる

デメリット

・正常組織への影響
・副作用のリスク

注意すべき合併症

肝臓は重要な血管が多く存在します。

特に問題となるのは
・大血管の近くの病変
です。

高線量を投与すると
・血管破綻による出血
・血管閉塞
・正常肝組織の壊死
などのリスクがあります。

そのため、この研究では
大血管近傍の病変は単回照射の適応から除外されています。

単回照射の治療成績

研究では、最初は35Gyから開始し、症例が増えるにつれて40Gyまで線量を増加しました。

結果として
・中央値2年の観察期間
・良好な治療成績
・重篤な合併症なし

という結果でした。

放射線治療医にとっても、40Gyを1回で投与することは非常に高線量であり驚くべき結果です。

手術との違い

放射線治療には以下のメリットがあります。

体への負担が少ない

手術と比べて侵襲が少ない。

手術が難しい症例でも可能

高齢者や合併症がある患者にも適応可能。

入院が不要な場合もある

外来での治療が可能なこともあります。

大腸癌肝転移における重要性

大腸癌は、原発巣がコントロールされれば予後が比較的良好な疾患です。

そのため
・肝転移に対して積極的に局所治療
が行われるようになってきています。

SBRTは
手術の代替となる治療選択肢として期待されています。

オリゴ転移(少数転移)についての記事はこちら

近年では少数転移に対する放射線治療の良好な成績が多数報告されています。

肝臓転移についても例外ではありません。

安全に治療を受けるためのポイント

肝臓は呼吸によって大きく動く臓器です。

そのため
・呼吸移動対策
・高精度放射線治療
が必須となります。

十分な設備と経験を持つ施設で治療を受けることが重要です。

今後の展望

海外では短期間・高線量の治療が急速に普及しています。

日本ではまだ一般的ではありませんが、
今後は
・短期治療
・高精度治療
が広がっていく可能性があります。

通常治療とSBRTの比較

項目通常放射線治療SBRT単回高線量照射
治療回数約25回3〜12回1回
治療期間約5週間1〜2週間1日
1回線量約2Gy7.5〜20Gy35〜40Gy
強さ標準強い非常に強い
注意点長期通院呼吸移動対策血管近傍は不可

まとめ

・肝臓転移に対するSBRTは有効で安全
・治療期間を大幅に短縮できる
・単回高線量治療も有望
・手術が難しい症例でも治療可能
・今後さらに普及する可能性が高い

肝臓転移に対する放射線治療は、重要な選択肢として積極的に検討されるべきです。

生活習慣の改善に

肝臓の健康維持には生活習慣の改善が重要です。
オルニチンは肝臓の働きをサポートする成分として知られており、飲酒習慣がある方や疲労感が気になる方に広く利用されています。

DHC オルニチン30日分

転移ではない肝がんの治療の記事はこちら

肝細胞癌に対する最新の放射線治療の情報をまとめています。

放射線治療の費用・期間・副作用の記事はこちら

  • 放射線治療の費用

  • 放射線治療の期間

  • 放射線治療の副作用(まとめ)

肝臓転移に対する放射線治療FAQ

Q1. 肝臓転移に放射線治療は本当に効きますか?

はい。多施設共同研究では、体幹部定位照射(SBRT)により良好な局所制御率が示され、重篤な副作用も少ないと報告されています。

Q2. SBRTとは何ですか?

SBRT(体幹部定位照射)とは、通常よりも1回あたりの線量を増やし、治療回数を減らす放射線治療法です。通常25回程度かかる治療が、3〜5回で終了する場合もあります。

Q3. 1回だけの放射線治療は安全ですか?

35〜40Gyを1回で照射する治療も研究されています。大血管近傍の病変は適応外となるなど慎重な選択が必要ですが、研究では重篤な合併症は報告されていません。

Q4. 手術とどちらが良いのですか?

可能であれば手術が第一選択となることが多いですが、手術が難しい場合や体力的負担が大きい場合、SBRTは有力な選択肢になります。

Q5. 副作用はありますか?

高線量治療のため正常肝組織や血管への影響が問題になる可能性があります。そのため、十分な呼吸移動対策と高精度治療が可能な施設で行う必要があります。

Q6. 日本でも受けられますか?

SBRTは実施可能な施設が増えていますが、単回40Gyのような超高線量治療はまだ一般的ではありません。今後の普及が期待されています。

参考文献

Long-Term Results of a Phase 1 Dose-Escalation Trial and Subsequent Institutional Experience of Single-Fraction Stereotactic Ablative Radiation Therapy for Liver Metastases

The Dutch-Belgian Registry of Stereotactic Body Radiation Therapy for Liver Metastases: Clinical Outcomes of 515 Patients and 668 Metastases

※当サイトはAmazonアソシエイトとして、適格販売により収益を得ています。

広告