乳癌の術中照射は標準の乳房照射に成績で劣る可能性がある@まとめ済み

2026年1月31日

乳癌の術中照射

乳癌に対する放射線治療の中に、術中照射というものがあります。

これは乳癌の手術を行っている最中に、そのまま放射線を術野に照射するというものです。

術中照射のメリットとしては、実際に腫瘍があった部分に直接放射線を当てるため、より限局して照射できるという点が挙げられます。

また、手術と放射線治療が同時に終了するため、通常の放射線治療のように3週間~5週間といった長期の通院が不要になります。

いっぽうで、手術中に照射するため、術野を清潔に保ちながら照射を行う必要がありますし、通常の治療に比較してはるかに手間が増えます。

そして術中照射を行っている間は、他の放射線治療は当然行えないため、他の患者のスケジュール調整が難しくなります。

かなり特殊な治療となるため、通常の市中病院ではなかなか難しく、大学病院のような専門施設で実施する形となりますが、実際に行っている施設はそこまで多くないと思います。

術中照射と全乳房照射の成績比較

このように手間のかかる術中照射と、通常の全乳房照射の治療成績を比較した研究があります。

この研究では、258例の術中照射群と、それに合わせて年齢や組織型、腫瘍サイズなどを調整した対照群である、全乳房照射群258例を比較検討しています。

観察期間の中央値は150ヶ月でした。

治療後15年時点での局所再発率は術中照射群で8.3%であったのに対して、全乳房照射群では2.5%と有意に低いという結果でした。

また病側の乳房における再発は、術中照射群で7.9%、全乳房照射群で5.0%とこちらも有意に低いという結果でした。

長期間の経過観察で局所再発および病側乳房内再発のいずれも術中照射群で高いという結果となりました。

また全乳房照射についてはその後の心血管系の副作用が問題となりますが、こちらについては両群間で差は無いという結果でした。

このため、術中照射の適応については慎重に検討すべきであり、まずは標準の全乳房照射を検討すべきとしています。

参考文献

Whole Breast Irradiation Versus Intraoperative Electron Radiation Therapy for Breast Conserving Therapy: A Large Mature Single Institution Matched-Pair Evaluation of True Local Relapse, Progression Free Survival, and Overall Survival

Affiliations

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