前立腺癌の治療後は何年まで経過観察すればよいのか?

目次

1:癌治療後の適切な経過観察期間は?
2:前立腺癌治療後の経過観察期間
3:参考文献

癌治療後の適切な経過観察期間は?

前回と同じ論文を引用した記事になるのですが、今回の話題は、前立腺癌を治療したあと、いったいいつまで経過観察を続ければいいのだろうか、という点についてです。

一般的な癌治療においては、治療後5年というのがひとつの目安になることが多く、5年間経過観察をしていて再発が出てこなければ治りましたね、という判断になります。

ただし、5年間の経過観察以降にも再発する腫瘍もあり、5年以降も注意が必要なのが、男性であれば前立腺癌、女性であれば乳癌になります。

では、前立腺癌は治療後いつまで経過観察を行うのが適切なのでしょうか。

前立腺癌治療後の経過観察期間

前回引用した論文の中で、この話題に関して一つの指標となるデータが示されていましたので、ここで紹介したいと思います。

直接図を貼れると良かったのですが、貼れなかったので興味のある方は原文を当たっていただければと思います。

この論文の中の図3で、経過観察期間中の生物学的再発の推移が示されています。

ようは期間中の前立腺癌の再発の頻度が時間経過とともに示されているのですが、これを見ると、だいたい治療後10-12年後ぐらいまでは再発が一定数見られているのですが、それ以降は再発の頻度がだいぶ減っています。

つまり、もし前立腺癌の治療後の経過観察をこの期間まで、と明確に区切るのであれば、治療後10年というのは一つの区切りになると考えられます。

もちろん、10年後以降も再発はあるのですが、頻度的に多いというわけではありません。

なので、10年後以降も経過を見れるのであればそれが理想的ではありますが、10年を一区切りとして、いったん経過観察を終了というのも十分現実的ではないかと考えられます。

実際にどこまで経過観察を続けるかは、患者の年齢や病院の体制、またもともとの前立腺癌の状態などによっても変わってくると思われますので、一概には言えませんが、今回の研究の結果は、観察期間について一つの示唆を与えてくれるものと言えます。

参考文献

Adding Short-Term Androgen Deprivation Therapy to Radiation Therapy in Men With Localized Prostate Cancer: Long-Term Update of the NRG/RTOG 9408 Randomized Clinical Trial

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