研究論文を書くための考え方、順番
今回は論文作成の手順についての記事を紹介します。
一部、自分自身の経験も踏まえながら追記していきたいと思います。
目次
1:まず図を作成する
2:タイトルページを作成する
3:メソッド(M&M)を書く
4:イントロダクションを書く
5:Resultを書く
6:ディスカッションを書く
7:まとめ
8:参考文献
1:まず図を作成する
ここで紹介されている手順の一番目は図を作成することです。
私自身は図を作るというよりは、明確な結論を定義する、というのを最初の手順としていますが、基本的には同じことだと思います。
実際に論文の本文を読むときに一番に目にとまるのが図であり、その図が論文の結論を一番に反映している、ということだと思います。
ここでは6つの図をしっかりと作ることが最初の手順として重要だと述べられています。
図にしてもそうですが、「明確な結論」を最初に定義することが重要だと考えます。
2:タイトルページを作成する
2番目にはタイトルページを作ることが挙げられています。
ここでは実際にタイトルページを作成することで、自分が書いているものが、ちゃんとした論文なのだと認識できるからと理由付けされています。
ここでいうタイトルページに含まれるものとしては、「論文のタイトル」および「短いタイトル」、著者やその所属などになるかと思います。
実は自分はタイトルページを作成するのはかなり後の方です。
これは、論文のタイトルを決めるのは、最終的な論文の方向性が定まってからのことが多く、特に自分は英語がそこまで得意ではないので、あまり気の利いたタイトルを最初に考え付かないからというのもあります。
実際、英語校正に出した際に修正してもらったタイトルをそのまま使わせてもらうこともあります。
なので、自分自身はタイトルページじたいはそこまで重要視していません。
3:メソッド(M&M)を書く
3番目はMethodを書く、です。
いわゆるMaterial and Methodになります。
Material and Methodは論文の中で一番書きやすい部分です。
どのような論文にしても、Material and Methodに書く内容とういのはだいたい決まっているため、あまり迷わずに書けるからです。
具体的には、研究対象や期間、治療方法、解析方法などです。
自分の論文で引用する予定の論文に使われている形式を参考にするのが一番手っ取り早いです。
このMaterial and Methodを書くと論文を書いている感じが出てくると思います。
4:イントロダクションを書く
次にイントロダクションを書く、としています。
この記事でも指摘されているのですが、Material and Methodの後にResultを書く人もいると思います。
私もおそらくResultを先に書くことが多いです。
これは、イントロダクションはResultの内容につながるように書いていく必要があるからで、イントロダクションに書かれている内容というのは基本的にResultと対応している必要があります。
このため、先にResultを書いているほうが、そのあとのイントロダクションにつなげやすいからです。
またResultはその名の通り、研究の結果なので、基本的には書く内容にそこまで悩まないというのもあります。
この記事の中では、イントロダクションを先に書く方が、Resultにつなげやすいからとしています。
このあたりは個人の好みもあるかもしれません。
イントロダクションを書く際に大事なことは大きな内容からだんだんと今回の研究の検討点に絞っていくように書いていくということです。
一般事項からだんだんと個別事項に絞って行く感じです。
多くの場合、「肺癌は世界的に罹患率の高い疾患で~」というような内容から「進行肺癌に対する定位放射線治療において~」というような感じで文章を作っていきます。
なぜ今回の研究が行われたのか、臨床的になぜ今回の研究が重要なのかを論理的に紹介する必要があります。
5:Resultを書く
次にResultを書きます。
Resultというのは「結果」なので、事実だけを淡々と書きます。
そこに著者の考えが入らないようにします。
「有意である」あるいは「有意でない」は良いですが、「有用であると考えられる」は書いてはいけません。
著者の考えを書くのが許されるのはDiscussionになりますので、そこに書きましょう。
結果に関しては、多くの結果を書いてしまうと何が言いたいのかぶれてしまいます。
1つあるいは2つぐらいの大きな結果と、小さな結果を2-3個ぐらいいれるのがバランスが良いと思います。
なので、この伝えたい1つあるいは2つの結果がその研究において一番重要なことであり、その結果でちゃんと他の論文と戦えるのかどうか検討する必要があります。
この大きな結果がちゃんとしていないと、他に何個結果を提示しようが雑誌にとって魅力的な論文にはなりません。
あと細かい話ですが、表や図に書いていることを本文中で重複して書く著者がいますが、基本的に重複した内容は嫌われます。
できるだけ簡潔に書くことを心がけるべきです。
6:ディスカッションを書く
最後にディスカッションを書きます。
ディスカッションは著者の考えが書ける唯一の領域です。
なぜ今回の研究が重要なのかを論理的に書いていく必要があります。
まず最初に今回の研究の重要な結果を提示し、その結果がいかに臨床的に重要な発見であるかを述べます。
次に先行研究を引用し、今回の結果との相違点や補強点を挙げ、今回の結果が以前の研究の結果と矛盾していないことを説明します。
この研究のLimitationを挙げます。
最近、査読をしていてしばしばこのLimitationを挙げていない論文に遭遇していますが、どのような論文にも必ずLimitationは存在するので、必ず記載するようにしてください。
最後に、この研究の結果を受けて今後の展望を書きます。
多くは「追加の検討が必要だ」や「前向き試験で結果を検証する必要がある」みたいな感じで締めくくります。
まとめ
以上、簡単ではありますが、論文作成の大まかな流れ、考え方を紹介しました。
これを読めばすぐに論文が書けるというわけでは無いですが、ひとつの助けにはなるのではないかと思います。
もちろん論文作成はこのあと投稿、リビジョンと続いていくので、これで終わりというわけではありません。
リビジョンあたりについても今後機会があれば書こうかと思います。
参考文献
Writing a Research Paper
- PMID: 32092340
- DOI: 10.1016/j.ijrobp.2019.12.005
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