小児期の放射線治療に伴う脳梗塞リスク

Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2016 Nov 1;96(3):597-605. doi: 10.1016/j.ijrobp.2016.03.049. Epub 2016 Apr 8.
Risk of Symptomatic Stroke After Radiation Therapy for Childhood Cancer: A Long-Term Follow-Up Cohort Analysis.
van Dijk IW1, van der Pal HJ2, van Os RM3, Roos YB4, Sieswerda E2, van Dalen EC5, Ronckers CM5, Oldenburger F3, van Leeuwen FE6, Caron HN5, Koning CC3, Kremer LC5.
この論文では、一つの治療センターで放射線治療を受けた小児を対象として、長期間のフォローを行って、脳梗塞リスクを評価している。
驚異的なのは、そのフォローアップ期間で、中央値24.9年も経過観察を続けているという点である。最も長い症例では45年である。
おそらく日本ではこれほど長期にフォローしている研究というのは稀ではないだろうか。
実際、5年間継続して通院してもらうだけでも難しい場合は多々あるのが現実である。
この研究では、1362人を対象として、上記の長期フォローを行い、そのうちの28人で有症状の脳梗塞を経験したと報告している。
この研究では、放射線治療の種類を、頭部照射(CRT)、横隔膜よりも頭側の照射(SDRT)、小線源治療、およびその他に分類しており、CRTおよびSDRT群において脳梗塞の発生が有意に多かった。
脳梗塞群とそうでない群との比較では、照射線量には大きな違いは見られなかった。
別の研究では小児期のホジキンリンパ腫に対するマントル照射が、将来的な脳梗塞のリスクを高めると報告されている。
小児期は特に放射線感受性の高い時期であり、将来的な副作用発生のリスクも高くなるため、治療や経過観察においては注意が必要である。
もちろん、原疾患を治療することが大前提ではあるが、その後の影響についても、治療時に十分説明する必要があるであろう。
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