放射線治療の期間はどれくらい? 治療開始までの流れと疾患別スケジュールを専門医が解説
放射線治療は「すぐ始まる治療」ではありません。
実は、治療開始までにも準備期間が必要で、さらに病気によって治療期間は大きく異なります。
この記事では、
放射線治療はいつから始まるのか
何週間くらい通院するのか
疾患ごとの具体的な治療回数
セカンドオピニオンを受けると遅れるのか
について、分かりやすくまとめます。
放射線治療はすぐ始まらない?
治療開始までにかかる期間
放射線治療は、受診してすぐに始まるわけではありません。
① 治療前に必要な準備
多くの場合、まず行うのが
治療専用のCT検査
です。
「直前にCTを撮ったばかりなのに、また撮るの?」
と思われる方も多いですが、このCTは特別です。
実際に治療を受ける姿勢で撮影
その姿勢で今後ずっと治療を行う
このCTをもとに治療計画を作成
つまり、このCTは治療の設計図の土台になります。
もし撮影時に無理な姿勢をとってしまうと、その後の治療が毎回つらくなります。
違和感があれば必ずその場で伝えてください。
② 治療計画の作成
CT終了後、
放射線の当て方を設計
臓器への影響を計算
実際に機械上で照射可能か確認
という工程を経て、ようやく治療開始となります。
③ 治療開始までの目安
CT撮影後:3日~1週間程度
複雑な治療:2週間以上かかる場合あり
初診から治療開始まで:2週間~1か月程度が目安
特殊な治療ではさらに時間がかかることもあります。
放射線治療は何週間かかる?
基本ルール
放射線治療は通常、
1日1回
土日祝日を除く平日毎日
1週間で5回
というスケジュールで進みます。
※小細胞肺癌などでは1日2回照射する場合もあります。
治療期間中に休んでもいい?
原則として、治療は連続して行うことが重要です。
一般的に、
「1日延びると治療効果が約1%弱まる」とも言われています。
祝日がある週
年末年始やGWなどの長期連休
このような場合、施設によっては休日治療を行うこともあります。
体調不良時は自己判断で休まず、必ず相談してください。
治療時間帯は選べる?
多くの施設では、ライフスタイルに合わせて時間帯を相談できます。
朝治療 → その後仕事へ
午後に通院
ただし、
食事制限
排尿調整
などが必要な治療もありますので事前確認が必要です。
【疾患別】放射線治療の期間一覧
※あくまで目安です。施設や病状により変動します。
頭部の放射線治療
全脳照射(脳転移)
10回
→ 約2週間
全脳照射の記事はこちら
多発脳転移に対する治療である全脳照射について解説しています。
グリオーマなど(根治照射)
25~30回
→ 約5~6週間
脳定位放射線治療
3~10回(多い場合30回)
→ 多くは1~2週間
脳転移に対する定位照射の記事はこちら
定位照射の副作用や術後照射、再照射まで詳しく解説しています。
頭頸部癌(咽頭癌・喉頭癌など)
25~35回
→ 約5~7週間(祝日含め約2か月)
抗がん剤併用や副作用の影響で入院となることもあります。
胸部(肺癌・乳癌・食道癌)
非小細胞肺癌
25~35回
→ 約5~7週間
非小細胞肺癌の治療のまとめはこちら
治療の最新情報を分かりやすく解説しています。
小細胞肺癌(1日2回照射)
30回(1日2回)
→ 約3週間
小細胞肺がん治療の最新情報はこちら
現在の標準治療は1日2回照射ですが、将来的には1日1回照射になるかも
肺SBRT
4~8回
→ 1~2週間
乳癌術後(通常)
25回+追加5回あり
→ 約5~6週間
乳がん治療の最新情報をまとめました
乳房温存術と切除術の成績比較などを解説しています。
乳癌術後(寡分割)
16回
→ 約3~4週間
16回の寡分割照射を解説
寡分割照射の副作用、整容面、長期副作用を解説しています。
進行食道癌
25~35回
→ 約5~7週間
食道がんの放射線治療に関する記事はこちら
線量増加や陽子線など、最新のエビデンスを解説しています。
腹部(直腸癌・肝癌・膵癌)
直腸癌・肛門癌
20~30回
→ 約4~6週間
直腸がんの放射線治療の記事はこちら
術前照射や短期照射、免疫療法について解説しています。
肛門がんの放射線治療の記事はこちら
肛門癌の原因や治療法、IMRTをまとめています。
肝細胞癌(通常)
約25回
→ 約5週間
肝SBRT
3~5回
→ 約1週間
膵癌
25~30回
→ 約5~6週間
粒子線治療(肝)
短期:約2週間
長期:5~8週間
骨盤部
前立腺癌(IMRT)
35~39回
→ 約7~8週間
前立腺癌の放射線治療を徹底解説
前立腺癌の放射線治療について、IMRT、ホルモン併用、小線源治療まで詳しく解説しています。
前立腺癌の放射線治療における副作用を解説
前立腺癌の放射線治療における副作用を原因、頻度、予防、治療まで詳しく解説しています。
前立腺小線源
治療1日+入院含め約1週間
膀胱癌
30~35回
→ 約6~7週間
子宮頸癌(RALSあり)
外照射25~35回+RALS2~4回
→ 約6~8週間
子宮頸がんの放射線治療の記事はこちら
子宮頸がんに対する放射線治療、免疫療法、温熱療法、ワクチンの有効性まで詳しく解説しています。
子宮頸癌(RALSなし)
25~30回
→ 約5~6週間
リンパ腫
ホジキンリンパ腫
10~20回
→ 約2~4週間
非ホジキンリンパ腫
12~20回
→ 約2~4週間
胃MALTリンパ腫
15~20回
→ 約3~4週間
セカンドオピニオンは治療開始が遅れる?
セカンドオピニオンは有用ですが、注意点があります。
注意点① 予約まで時間がかかる
外来枠が少ない
数週間待ちになる場合あり
注意点② 治療開始が遅れる可能性
もし転院して治療する場合、
再度CT
再度治療計画
が必要になり、結果として約1か月程度遅れる可能性があります。
最も重要なポイント
セカンドオピニオンを受ける場合でも、
元の病院で仮の治療予定を確保しておくこと
これにより、適応がなかった場合もスムーズに治療開始できます。
まとめ
放射線治療の期間は、
準備期間:2週間~1か月
治療期間:1週間~8週間(疾患による)
と幅があります。
「いつから始まるのか」
「何週間かかるのか」
は、病気・治療方法によって大きく異なります。
必ず主治医に
治療回数
予定期間
祝日の扱い
生活との両立
を確認しましょう。
放射線治療の費用についてまとめました
治療を受ける際に最初に気になるのが治療費かと思います。
実際にどれぐらいが必要なのか確認しておきましょう。
放射線皮膚炎について
放射線皮膚炎はどこの部位の治療でも起こる可能性のある副作用です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 放射線治療は受診してすぐ始まりますか?
いいえ、すぐには始まりません。
多くの場合、治療専用のCT撮影、治療計画の作成、機械上での確認といった準備が必要です。
CT撮影後から治療開始までに3日~1週間程度、初診から治療開始までは2週間~1か月程度かかることが一般的です。
Q2. なぜ治療前に改めてCTを撮るのですか?
治療専用CTは、実際に放射線治療を受ける姿勢で撮影します。
その姿勢をもとに放射線の当て方を設計するため、以前に撮影した診断用CTでは代用できません。
このCTの姿勢は治療期間中ずっと維持するため、違和感があれば撮影時に必ず伝えることが重要です。
Q3. 放射線治療は何回くらい通院しますか?
病気や治療法によって異なりますが、一般的な外部照射では25~35回程度が多く、5~7週間かかることが多いです。
一方で、定位放射線治療(SBRT)などでは3~8回程度、1~2週間で終了する場合もあります。
Q4. 放射線治療は毎日行いますか?
通常は1日1回、土日祝日を除く平日に毎日行います。
1週間で5回の治療を続け、決められた回数まで休まず行うのが基本です。
小細胞肺癌など一部の疾患では1日2回照射する場合もあります。
Q5. 治療中に休んでも大丈夫ですか?
原則として、治療期間が延びると治療効果が弱まる可能性があるとされています。
体調不良などがあった場合は、自己判断で休まず、必ず治療施設に相談してください。
Q6. 治療時間帯は選べますか?
多くの施設では、ライフスタイルに合わせて相談が可能です。
朝に治療を受けて仕事へ向かう方もいれば、午後に通院する方もいます。
ただし、治療内容によっては食事制限や排尿調整が必要な場合があります。
Q7. 前立腺癌の放射線治療はどれくらいかかりますか?
強度変調放射線治療(IMRT)では約35~39回が一般的で、7~8週間程度かかります。
放射線治療の中では比較的期間が長い部類に入ります。
Q8. 乳癌術後の放射線治療は何週間ですか?
標準的には25回で約5~6週間です。
寡分割照射(16回)の場合は3~4週間程度で終了します。
Q9. セカンドオピニオンを受けると治療は遅れますか?
セカンドオピニオン外来の予約に時間がかかる場合があり、その分治療開始が遅れる可能性があります。
さらに転院して治療する場合は、再度CT撮影や治療計画が必要になるため、結果的に1か月程度遅れることもあります。
Q10. セカンドオピニオンを受ける場合の注意点は?
セカンドオピニオンを受ける場合でも、元の病院で仮の治療予定を確保しておくことが重要です。
そうすることで、転院しない場合でも時間のロスを最小限に抑えることができます。
Q11. 粒子線治療やSBRTは短期間で終わりますか?
はい、短期間で終了する場合があります。
例えば肝臓に対するSBRTでは3~5回、約1週間で終了することが多いです。
粒子線治療も短期治療では約2週間で終了する場合がありますが、条件によっては5~8週間かかることもあります。
Q12. 放射線治療の期間はなぜ病気によって違うのですか?
腫瘍の種類、部位、進行度、周囲の正常臓器との位置関係などによって、必要な放射線量や1回あたりの線量が異なるためです。
その結果、治療回数や期間に違いが生じます。



























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