放射線はどこに当たっているのか:治療範囲を把握しましょう
今回は放射線治療の際に、放射線が実際にどこに当たっているのかについて書いていこうと思います。
放射線が当たる範囲を「照射野」といいます。
治療を受けるうえで、この照射野を知っておくことは重要で、特に副作用の把握という点で役に立ちます。しかしながら、治療を受ける際に照射野を気にする人は少ないのではないでしょうか。治療方針については主治医の先生に任せているので、という人も少なくないかと思います。
ただ、実際に治療がはじまり、放射線の副作用が徐々に出てくると、こんなところまで放射線が当たっているのかと感じることもあるかと思います。
放射線治療に伴う副作用というのは、基本的には放射線があたった場所に依存しています。具体的には、口に当たれば、口の中に粘膜炎が起こりますし、膀胱に当たれば膀胱炎が起こって残尿感や頻尿などが出てきます。
つまり、治療の際に照射野を把握しておくということは、その後に治療が進んだ際に出てくるであろう副作用を事前に想定しておくことができますし、症状によっては悪化を予防できる場合もあります。
また、放射線治療は思っているよりも広い範囲を治療していくということにも注意が必要です。例えばもともとの病気の大きさが1㎝程度であっても実際に治療していく場合には5㎝以上の広さを治療するということは少なくありません。これは放射線治療においては、治療の対象は目に見える部分だけでなく、目に見えない範囲で広がっている病気も多少にて治療していくからです。このため、多くの場合では、患者さんが思っているよりも広い範囲に放射線が当たっていることになります。
なので、できれば治療が始まるときには、放射線治療科の主治医に、どこに放射線が当たって、どのような副作用が出るのかを必ず確認しておきましょう。
確認する際の問題点としては、最近の放射線治療は、以前にくらべるとより複雑化してきているため、当たっている場所の理解が難しくなっていることです。昔であれば放射線を当てる際の方向は1か所や2か所程度だったため、当たっている場所の把握は容易でしたが、最近の複雑な治療では、場合によっては10本以上のビームを使って治療することもあり、さらには3次元的に放射線が当たるため、一般の方には理解しにくい部分も多くなっています。
次回からは可能な範囲で、実際の放射線治療の際に、放射線が当たる範囲について書いていこうと思います。
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