放射線治療による神経症状|しびれ・痛み・頭痛・認知機能障害まで専門医が解説

放射線治療のあと、手足のしびれや頭痛が出ることってあるんですか?

起こることはあります。ただし原因は放射線だけとは限りません。
この記事では、放射線治療で起こる可能性のある神経症状の種類と対処法をわかりやすく解説します。
放射線治療は多くのがんに対して重要な治療法ですが、照射部位や線量によっては神経に関連する症状が現れることがあります。
代表的な症状には次のようなものがあります。
- 手足のしびれ
- 神経障害(ニューロパチー)
- 神経痛・慢性的な痛み
- 頭痛
- めまい
- 認知機能障害(記憶力低下など)
しかし実際には、
- 治療の影響ではない症状
- 一時的な副作用
- まれな晩期障害
などが混在しており、正しく理解することがとても重要です。
この記事では、放射線治療による神経症状の種類・原因・対処法について、国際的なガイドラインと最新研究に基づき、専門医がわかりやすく解説します。
放射線治療の副作用まとめ
放射線治療の副作用の全体像については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶ 放射線治療の副作用まとめ|症状・原因・対処法を専門医が解説
神経症状は、放射線治療の副作用の中でも比較的まれですが重要な症状のひとつです。
放射線治療で神経症状が起こる理由

神経症状って、どうして起こるんでしょうか?

原因はいくつかあります。
神経への影響だけでなく、
炎症や腫瘍の変化などが関係することもあります。
神経症状は主に以下の理由で起こります。
神経への直接影響
放射線はがん細胞だけでなく、周囲の正常組織にも影響を与えることがあります。
特に影響を受けやすいのは
- 脳
- 脊髄
- 末梢神経
です。
神経周囲の炎症
放射線によって
- 組織炎症
- 浮腫
- 血流変化
が起こり、神経が圧迫されることで症状が出ることがあります。
晩期放射線障害
まれですが、治療から数か月〜数年後に神経症状が出ることがあります。
代表例
- 放射線誘発神経障害
- 放射線脊髄症
- 放射線脳壊死
ただし現在の放射線治療では、厳密な線量制限により発生率は大きく低下しています。
参考
- National Comprehensive Cancer Network
- American Society for Radiation Oncology
放射線治療による主な神経症状
このハブ記事では、以下の神経症状について詳しく解説しています。
放射線治療後のしびれ

放射線治療のあと、
手足がピリピリすることがあると聞きました。

しびれは相談の多い症状です。
神経の炎症や腫瘍の影響など、
さまざまな原因が考えられます。
▶ 放射線治療後のしびれ|原因・いつ治る?対処法を専門医が解説
しびれは比較的よく相談される症状です。
原因として
- 神経の炎症
- 腫瘍の影響
- 化学療法による神経障害
などが関係していることがあります。
症状の特徴
- 手足のピリピリ感
- 感覚低下
- 電気が走るような痛み
多くの場合は時間とともに改善しますが、持続する場合は評価が必要です。
放射線治療後の神経障害

神経そのものが傷つくこともあるんですか?

まれですがあります。
ただ現在は照射技術が進歩しており、
重い神経障害はかなり少なくなっています。
放射線によって神経の機能が障害される状態を放射線誘発ニューロパチーと呼びます。
典型例
- 腕神経叢障害
- 末梢神経障害
- 脊髄障害
現在は
- IMRT
- 定位放射線治療
などの発達により、発生頻度は大きく低下しています。
放射線治療による痛み

放射線治療で痛みが出ることもあるんですか?

ありますが、逆にがんの痛みを治すために放射線治療を行うことも多いです。
痛みは次のような原因で起こることがあります。
- 神経炎
- 組織炎症
- 腫瘍縮小に伴う変化
また、放射線治療は
がんによる痛みを改善する目的
でも使用されます。
つまり
- 痛みを起こす場合
- 痛みを治療する場合
の両方があります。
放射線治療による頭痛

頭部の放射線治療のあと、
頭痛が出ることはありますか?

軽い頭痛は起こることがあります。
ただし強い頭痛や神経症状がある場合は早めの相談が必要です。
頭部の放射線治療後に起こる可能性があります。
原因
- 脳浮腫
- 炎症
- 放射線宿酔
ただし
- 強い頭痛
- 意識障害
- 神経症状
がある場合は早めの医療相談が重要です。
放射線治療によるめまい

めまいが出ることもあるんでしょうか?

内耳や脳の影響で起こることがあります。
多くは一時的ですが、歩きにくいほどのめまいは注意が必要です。
めまいの原因には
- 内耳への影響
- 脳の変化
- 全身状態
などがあります。
軽度のものは一時的なことが多いですが、
- 歩行困難
- 嘔吐
- 神経症状
がある場合は評価が必要です。
放射線治療による認知機能障害

放射線治療で記憶力が落ちることはありますか?

脳への照射では可能性があります。
ただ最近は認知機能を守る照射方法が広く使われています。
脳への放射線治療では、
- 記憶力低下
- 注意力低下
- 思考速度低下
などの症状が起こることがあります。
ただし近年では
- 海馬回避照射
- 定位照射
などにより、リスク低減の研究が進んでいます。
神経症状が出たときの受診の目安

どんな症状が出たら病院に相談すればいいですか?

急に悪化するしびれや麻痺、
強い頭痛などは早めの受診が大切です。
次の症状がある場合は早めに相談してください。
- 急激に悪化するしびれ
- 手足の麻痺
- 強い頭痛
- 意識障害
- 歩行困難
- 視力障害
これらは腫瘍の進行や脳浮腫の可能性もあるため、評価が必要です。

神経症状が出たら、
放射線治療の後遺症なんでしょうか…?

必ずしもそうとは限りません。
多くは一時的な炎症や別の原因で起こることもあります。
専門医コメント
放射線治療による神経症状は、患者さんが不安を感じやすい副作用の一つです。
しかし実際には、
- 一時的な炎症
- 腫瘍の影響
- 化学療法
など、放射線以外の要因が関係していることも多くあります。
現在の放射線治療では
- 高精度照射
- 厳格な線量制限
- 神経保護技術
により、重い神経障害はかなりまれになっています。
症状が出た場合でも、多くは
- 経過観察
- 薬物治療
- リハビリ
で改善する可能性があります。
不安な症状がある場合は、遠慮せず主治医に相談することが重要です。
まとめ
放射線治療では、まれに神経症状が起こることがあります。
主な症状
- しびれ
- 神経障害
- 痛み
- 頭痛
- めまい
- 認知機能障害
しかし現在の放射線治療では
高度な照射技術によりリスクは大きく低下しています。
症状が気になる場合は、早めに医療機関へ相談することが重要です。
FAQ(よくある質問)
放射線治療でしびれは起こりますか?
起こることがありますが、原因は神経炎、腫瘍の影響、化学療法などさまざまです。
放射線治療で神経障害は起こりますか?
まれですが起こる可能性があります。現在の高精度放射線治療では発生率は低くなっています。
放射線治療後の頭痛は危険ですか?
軽い頭痛はよくありますが、強い頭痛や神経症状がある場合は医療機関に相談してください。
放射線治療でめまいが起こることはありますか?
内耳や脳への影響で起こることがあります。
放射線治療で記憶力が低下しますか?
脳への照射では起こる可能性がありますが、近年はリスクを減らす技術が発達しています。
神経症状はいつ出ますか?
治療中、治療後数週間、あるいは数年後に出ることがあります。
神経症状は治りますか?
多くは改善する可能性があります。
放射線治療の神経障害はどのくらいの頻度ですか?
現在の放射線治療では非常にまれです。
神経症状が出たらどうすればよいですか?
症状が続く場合は主治医に相談してください。
放射線治療の神経症状は予防できますか?
照射計画で神経の線量を制限することでリスクを減らすことができます。
放射線治療の総合ガイド
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この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。























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