放射線治療後の神経障害|原因・症状・回復の見通しを専門医が解説

放射線治療のあと、しびれが続いています…
これって神経が傷ついたのでしょうか?

放射線治療のあとに神経症状が出ることはありますが、多くは軽い症状で改善するケースも多いです。この記事では神経障害の原因や回復の見通しをわかりやすく解説します。
放射線治療は多くのがんで有効な治療法ですが、まれに神経に影響が出る副作用(神経障害)が起こることがあります。
「しびれが残るのでは?」
「神経は回復するの?」
と不安になる方も少なくありません。
この記事では、放射線治療後の神経障害について
- 起こる原因
- 症状の特徴
- 発症時期
- 回復の見通し
- 治療・対処法
を国際的ガイドラインや研究結果をもとに、専門医の視点でわかりやすく解説します。
関連記事
放射線治療では、さまざまな神経症状が起こる可能性があります。
しびれ・痛み・頭痛・めまいなどの症状の全体像については、以下の記事でまとめて解説しています。
なお、放射線治療の副作用全体については、以下の記事で詳しく解説しています。
放射線治療後の神経障害とは

神経障害というのは、
すぐに起こる副作用なんですか?

実は多くの場合、数か月〜数年後にゆっくり現れる遅発性の副作用です。
そのため、治療が終わったあとでも体の変化には注意が必要です。
放射線治療後の神経障害とは、放射線の影響で神経がダメージを受けて起こる症状です。
神経は体の中でも回復に時間がかかる組織であるため、以下の特徴があります。
- 治療中ではなく数か月〜数年後に発症することがある
- 症状がゆっくり進むことがある
- 早期対応が重要
この副作用は頻度としてはまれですが、治療部位によっては注意が必要です。
放射線で神経障害が起こる原因
放射線による神経障害は、主に次の3つのメカニズムで起こると考えられています。
① 神経そのものへの放射線障害
神経細胞や神経線維が直接ダメージを受けることがあります。
② 血管障害
放射線によって神経周囲の微小血管が障害され、神経の血流が低下します。
③ 線維化(組織が硬くなる)
時間の経過とともに
- 神経周囲の組織が硬くなる
- 神経が圧迫される
ことがあります。
このような変化が重なることで、遅れて神経症状が出ることがあると考えられています。
参考
National Cancer Institute
https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/types/radiation-therapy/side-effects
神経障害の主な症状
症状は治療した部位の神経によって異なります。
よくみられる症状は次の通りです。
感覚症状
- しびれ
- ピリピリする痛み
- 感覚が鈍くなる
運動症状
- 力が入りにくい
- 手足が動かしづらい
自律神経症状
- 発汗異常
- 皮膚温度の変化
しびれについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶ 放射線治療後のしびれ

しびれやピリピリした痛みがあると、
神経障害の可能性があるんですか?

そうですね。
しびれ・感覚低下・神経痛などが代表的な症状です。
ただし原因は他にもあるので、症状が続く場合は医師に相談しましょう。
神経障害が起こりやすい部位

神経障害はどの治療でも起こるんですか?

いいえ。神経の近くに放射線が当たる治療で起こることがあります。
たとえば乳がん治療後の腕神経叢障害などが知られています。
放射線治療後の神経障害は、神経が近い部位の治療で起こることがあります。
代表例として次のものがあります。
腕神経叢障害
主に
- 乳がん
- 頭頸部がん
の治療後に起こることがあります。
症状
- 腕のしびれ
- 腕の痛み
- 腕の筋力低下
脊髄障害
脊髄に高線量の放射線が当たると、まれに放射線脊髄症が起こることがあります。
症状
- 手足のしびれ
- 歩きにくさ
- 排尿障害
現在の放射線治療では、脊髄の線量制限を厳密に守るため、発生頻度は非常に低くなっています。
参考
QUANTEC dose constraints
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20171515/
神経障害はいつ起こる?

治療が終わって数年たってから症状が出ることもありますか?

はい、あります。放射線の影響で神経周囲の組織が徐々に変化するため、数年後に症状が出るケースも報告されています。
神経障害は遅発性副作用として現れることが多いです。
発症時期の目安
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 治療中 | まれ |
| 数か月後 | 軽いしびれなど |
| 数年後 | 遅発性神経障害 |
研究では、数年後に発症するケースも報告されています。
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放射線治療後に起こるさまざまな晩期副作用については、以下の記事でまとめて解説しています。
放射線治療後に起こる可能性のある後遺症の全体像については、以下の記事でまとめて解説しています。
▶ 放射線治療後の後遺症まとめ|長期に残る症状を専門医が解説
神経障害は回復する?
回復の可能性は症状の程度によって異なります。
一般的には
- 軽症 → 改善することが多い
- 重症 → 完全回復が難しい場合もある
ただし
- 症状が安定する
- 痛みが軽くなる
など生活への影響が軽減するケースは少なくありません。
神経障害の治療・対処法

神経障害が出た場合、
治療はできるんでしょうか?

神経を完全に元に戻すのは難しい場合もありますが、薬やリハビリで症状を和らげる治療があります。早めの相談が大切です。
神経障害が起きた場合、以下のような治療が行われます。
薬物療法
神経痛の治療薬
- プレガバリン
- ガバペンチン
- デュロキセチン
参考
American Society of Clinical Oncology
https://www.asco.org/
リハビリ
- 理学療法
- 作業療法
神経の回復を助け、機能を維持することが目的です。
痛みのコントロール
慢性的な神経痛には
- 神経ブロック
- ペインクリニック治療
が行われることがあります。
神経障害を予防するために
現在の放射線治療では
- 高精度放射線治療
- 線量制限のガイドライン
があり、神経障害のリスクは大きく低下しています。
代表的な技術
- IMRT
- IGRT
- 粒子線治療
これらにより正常組織への線量を減らすことが可能になっています。

放射線治療を受けるのが少し不安になってきました…

心配になりますよね。ただ、現在の放射線治療では神経障害のリスクは非常に低く抑えられています。専門医の立場からポイントをまとめます。
専門医コメント
放射線治療による神経障害は、現在では非常にまれな副作用です。
治療計画では
- 脊髄
- 腕神経叢
など重要な神経の線量を厳密に制限しており、安全性は大きく向上しています。
一方で、神経症状は
- 数か月〜数年後に出ることもある
- 徐々に進行することがある
ため、
- しびれ
- 筋力低下
などの症状がある場合は、早めに主治医へ相談することが大切です。
早期評価によって
- 症状の原因を確認
- リハビリや薬物療法
など適切な対応につながります。
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放射線治療では、さまざまな神経症状が起こる可能性があります。
しびれ・痛み・頭痛・めまいなどの症状の全体像については、以下の記事でまとめて解説しています。
まとめ
放射線治療後の神経障害は、神経への放射線の影響で起こるまれな副作用です。
ポイント
- 数か月〜数年後に起こることがある
- しびれや筋力低下が主な症状
- 現在の放射線治療では発生頻度は低い
- 症状があれば早めの相談が重要
放射線治療の副作用全体については、以下の記事も参考にしてください。
FAQ(よくある質問)
放射線治療で神経障害はよく起こりますか?
現在の高精度放射線治療では神経障害は比較的まれな副作用です。
神経障害はいつ頃起こりますか?
治療中よりも、数か月〜数年後に発症する遅発性副作用として現れることがあります。
神経障害の主な症状は何ですか?
しびれ、ピリピリする痛み、感覚低下、筋力低下などがあります。
放射線治療後のしびれは必ず神経障害ですか?
しびれの原因はさまざまで、腫瘍や他の病気が関係する場合もあります。
神経障害は回復しますか?
軽症の場合は改善することがありますが、重症では回復が難しいこともあります。
神経痛の治療はありますか?
神経痛に対する薬やリハビリなどで症状を軽減できる場合があります。
放射線脊髄症とは何ですか?
脊髄が放射線の影響を受けて障害されるまれな副作用です。
どの治療部位で神経障害が起こりやすいですか?
乳がんや頭頸部がん治療後の腕神経叢障害などが知られています。
神経障害を予防する方法はありますか?
放射線治療では神経の線量制限を守ることでリスクを低減しています。
神経症状が出たらどうすればよいですか?
早めに主治医に相談し、原因の評価と適切な治療を受けることが大切です。
放射線治療の総合ガイド
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この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

























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