放射線治療の排尿症状・性機能障害|頻尿・血尿・EDなど泌尿器系副作用を専門医が解説

放射線治療のあと、
トイレや性機能に影響が出ることはありますか?

骨盤の治療では排尿症状や性機能の変化が出ることがあります。
ただし多くは一時的で、対処できることがほとんどです。
放射線治療では、がんを治療する過程で周囲の正常組織にも影響が及ぶことがあります。
特に 骨盤(前立腺・膀胱・子宮・直腸など)への放射線治療では、膀胱や尿道、性機能に関連する臓器が影響を受けることがあります。
その結果として、
- 頻尿
- 排尿痛
- 尿漏れ
- 血尿
- 性機能障害(EDなど)
といった症状が起こることがあります。
ただし多くの場合、これらの症状は 一時的で適切な対処により改善可能です。
この記事では、放射線治療後に起こりうる 排尿症状・性機能障害の全体像を、国際的なガイドラインと医学研究に基づいて解説します。
放射線治療の副作用について全体像を知りたい方はこちら
→ 放射線治療の副作用まとめ
放射線治療で排尿症状が起こる理由

どうして排尿の症状が出るのでしょうか?

膀胱や尿道の粘膜が一時的に炎症を起こすためです。
多くは時間とともに改善します。
骨盤への放射線治療では、
- 膀胱
- 尿道
- 前立腺
- 骨盤神経
などが放射線の影響を受ける可能性があります。
放射線によって
- 粘膜の炎症
- 血流変化
- 神経機能の変化
が起こることで排尿症状が生じます。
代表的なものは
- 頻尿
- 排尿痛
- 尿漏れ
- 血尿
などです。
国際的なガイドラインでも、これらは 骨盤放射線治療の代表的副作用として報告されています。
参考
NCCN Guidelines
https://www.nccn.org
EAU Guidelines
https://uroweb.org/guidelines
放射線治療後に起こる主な排尿症状
ここでは、放射線治療後に比較的よくみられる排尿症状を解説します。
放射線治療の頻尿
→ 放射線治療の頻尿
膀胱が放射線による刺激を受けると、
- トイレが近い
- 夜間頻尿
- 尿意が強い
といった症状が起こることがあります。
多くは 治療中〜治療後数週間で出現し、時間とともに改善します。

治療後にトイレが近くなることはありますか?

はい、膀胱が刺激されて頻尿になることがあります。
多くは治療後しばらくすると落ち着きます。
放射線治療の排尿痛
膀胱や尿道の炎症により
- 排尿時の痛み
- しみるような感覚
が起こることがあります。
これは 放射線性膀胱炎の初期症状として現れることがあります。
放射線治療の尿漏れ
骨盤の筋肉や神経への影響により、
- 尿意切迫
- 尿失禁
などが起こることがあります。
特に
- 前立腺がん
- 子宮がん
の治療後にみられることがあります。
放射線治療の血尿
→ 放射線治療の血尿
放射線性膀胱炎では
- 尿に血が混じる
- 赤い尿が出る
といった症状が起こることがあります。
多くは軽度ですが、まれに 遅発性放射線性膀胱炎として治療後数年してから起こることもあります。

尿に血が混じったら危険ですか?

放射線治療後に血尿が出ることはあります。
気づいたら必ず主治医に相談してください。
放射線治療後の性機能障害
骨盤への放射線治療では、性機能にも影響が出ることがあります。
特に以下の症状が知られています。
放射線治療後のED(勃起障害)
放射線治療では、
- 勃起神経
- 陰茎血流
に影響が出ることで 勃起機能の低下(ED)が起こることがあります。
研究では
- 治療後数年かけて徐々に起こる
ことが知られています。
参考研究
JAMA Oncology
European Urology

放射線治療でEDになることはありますか?

前立腺周囲の神経の影響で起こることがあります。
ただし治療で改善する場合も多いです。
放射線治療後の精液減少
前立腺や精嚢への放射線治療では、
- 射精量の減少
- 無精液射精
が起こることがあります。
これは
- 精嚢機能の低下
- 射精経路の変化
などが原因です。
放射線治療後の性交痛
女性では
- 膣粘膜の乾燥
- 膣の狭窄
などにより 性交時の痛み(性交痛)が起こることがあります。
適切なケアにより多くは改善可能です。
症状が出たときの対処法
放射線治療後の排尿症状・性機能障害は、多くの場合 治療可能または改善可能です。
主な対処法
排尿症状
- 薬物療法(抗コリン薬など)
- 膀胱訓練
- 骨盤底筋トレーニング
ED
- PDE5阻害薬
- 真空勃起補助装置
- リハビリ治療
女性症状
- 保湿ジェル
- 膣拡張器
- ホルモン治療
などが使用されます。

排尿や性機能の副作用はやはり心配です。

現在の高精度放射線治療では副作用はかなり減っています。
症状があれば早めに相談しましょう。
専門医コメント
放射線治療後の排尿症状や性機能の変化は、患者さんにとって非常に不安の大きい副作用です。
しかし重要なのは、
多くの症状は適切な治療で改善できる
という点です。
また近年は
- IMRT
- IGRT
- 高精度放射線治療
の発展により、これらの副作用は 以前より大きく減少しています。
症状を我慢せず、主治医に相談することが非常に大切です。
まとめ
放射線治療では骨盤臓器への影響により
- 頻尿
- 排尿痛
- 尿漏れ
- 血尿
- ED
- 精液減少
- 性交痛
などの症状が起こることがあります。
しかし多くは
- 一時的
- 改善可能
- 治療可能
です。
症状がある場合は早めに医師へ相談しましょう。
FAQ(よくある質問)
放射線治療で頻尿は起こりますか?
骨盤への放射線治療では膀胱が刺激されるため、頻尿が起こることがあります。多くは治療中から治療後数週間で出現し、時間とともに改善します。
放射線治療で血尿は起こりますか?
膀胱粘膜の炎症により血尿が起こることがあります。これは放射線性膀胱炎の症状の一つです。
放射線治療後にEDになることはありますか?
前立腺がんなど骨盤への放射線治療後にEDが起こることがありますが、薬物治療などで改善する場合が多いです。
放射線治療の排尿症状はいつまで続きますか?
多くは治療後数週間〜数か月で改善します。ただし一部では長期症状が出る場合もあります。
放射線治療後に尿漏れは起こりますか?
骨盤筋肉や神経への影響により尿漏れが起こることがあります。
放射線治療後に精液は減りますか?
前立腺や精嚢への放射線治療後に射精量が減少することがあります。
女性でも性機能障害は起こりますか?
膣乾燥や膣狭窄により性交痛が起こることがあります。
排尿症状は治療できますか?
薬物療法やリハビリなどで改善する場合が多いです。
血尿が出た場合どうすればよいですか?
必ず医師に相談してください。放射線性膀胱炎の可能性があります。
排尿症状は予防できますか?
近年の高精度放射線治療により副作用は減少しています。
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この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。
























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