放射線性膀胱炎とは?血尿の原因・症状・治療(高圧酸素療法)を専門医が解説

放射線治療が終わったあとに、
血尿が出ることがあると聞いたのですが本当ですか?

はい。
まれではありますが、
放射線治療のあとに放射線性膀胱炎という状態が起こり、
血尿が出ることがあります。

それは危険な状態なのでしょうか?

多くの場合は命に関わるものではなく、
適切な治療で改善します。
この記事では原因や症状、
治療についてわかりやすく説明します。
放射線治療を受けた後、血尿や頻尿などの膀胱症状が出ることがあります。
その原因の一つが 放射線性膀胱炎(radiation cystitis) です。
この記事では
・放射線性膀胱炎の原因
・血尿・頻尿などの症状
・膀胱鏡所見
・治療(膀胱内注入・高圧酸素療法)
について、放射線治療専門医の立場からわかりやすく解説します。
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放射線治療では、頻尿のほかにも排尿痛・血尿・尿漏れなどの症状が起こることがあります。
排尿症状や性機能への影響については、「放射線治療の排尿症状・性機能障害まとめ」で詳しく解説しています。
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→ 放射線治療後の血尿・血便の原因と対処法
→ 放射線治療の副作用はいつまで続くのか
放射線性膀胱炎とは
放射線性膀胱炎とは
放射線治療の影響で膀胱の粘膜や血管が障害されて起こる炎症です。
主に次のがんの放射線治療後にみられます。
・前立腺がん
・子宮頸がん
・子宮体がん
・膀胱がん
骨盤内の臓器は膀胱に近いため、
放射線の影響を受けることがあります。
放射線性膀胱炎は
急性期(治療中〜数ヶ月)
晩期(数年後)
の2種類があります。
晩期の放射線性膀胱炎では、血尿が主症状になることが多いのが特徴です。
参考
・ガイドライン
American Urological Association
https://www.auanet.org/guidelines
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放射線治療後に起こるさまざまな晩期副作用については、以下の記事でまとめて解説しています。
放射線性膀胱炎の原因
放射線性膀胱炎は
膀胱の血管障害
が主な原因です。
放射線により
・微小血管の障害
・組織の酸素不足
・粘膜の脆弱化
が起こります。
その結果
出血しやすい粘膜(易出血性粘膜)
になります。
これにより
・血尿
・膀胱出血
・膀胱炎症状
が起こります。

放射線性膀胱炎になると、
どんな症状が出るのでしょうか?

一番多いのは血尿です。
ほかにも頻尿や排尿時の違和感など、
膀胱炎に似た症状が出ることがあります。

血尿が出たらすぐ病院に行った方がいいですか?

血尿が続く場合は、
放射線性膀胱炎だけでなく別の原因も考えられるため、
主治医や泌尿器科に相談することが大切です。
放射線性膀胱炎の症状
主な症状は次の通りです。
血尿
最も多い症状です。
・顕微鏡的血尿
・肉眼的血尿
・血塊による排尿障害
などがあります。
重症例では
膀胱出血で入院治療が必要になることもあります。
尿漏れパッド
血尿がある場合、下着や衣服への付着が気になることがあります。
外出時などには男性用尿ケアパッドを使用すると安心です。
頻尿
膀胱粘膜の炎症により
・頻尿
・残尿感
・排尿痛
が起こることがあります。
排尿困難
血塊が膀胱内にたまると
尿が出にくくなることがあります。
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→ 放射線治療後の排尿トラブル(頻尿・尿漏れ)
膀胱鏡所見
放射線性膀胱炎では
膀胱鏡検査
が行われることがあります。
特徴的な所見として
・毛細血管拡張
・粘膜の発赤
・びらん
・出血点
がみられます。
英語では
telangiectasia
と呼ばれる所見です。

もし放射線性膀胱炎になったら、
どんな治療をするのでしょうか?

症状の程度によりますが、
膀胱内に薬を入れる治療や、
出血を止める治療を行うことがあります。

ほかにも治療法はありますか?

慢性的な放射線障害では、
高圧酸素療法という治療が行われることもあります。
放射線性膀胱炎の治療
症状の程度により
治療法が選択されます。
経過観察
軽症の場合は
・水分摂取
・経過観察
のみで改善することもあります。
膀胱内注入療法
膀胱内に薬剤を入れて治療します。
使用されることがある薬剤
・ヒアルロン酸
・アルム(ミョウバン)
・ホルマリン(重症例)
などがあります。
膀胱鏡下止血
出血部位が明確な場合
電気凝固
で止血することがあります。
高圧酸素療法
近年有効性が報告されている治療です。
高濃度酸素を吸入する治療
で
・組織酸素化
・血管再生
を促進します。
慢性放射線障害の治療として
多くの施設で行われています。
参考
Undersea and Hyperbaric Medical Society
https://www.uhms.org
高圧酸素療法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
放射線性膀胱炎は予防できるのか
完全な予防は難しいですが
近年は
・IMRT
・IGRT
・画像誘導放射線治療
などにより
膀胱の線量を減らす工夫
がされています。
そのため
重症の放射線性膀胱炎は以前より減少しています。

放射線治療を受けると、
こういう合併症はよく起こるのでしょうか?

実際には、重い放射線性膀胱炎になる患者さんはそれほど多くありません。

血尿が出たらすぐ深刻な状態と考える必要はないのですね。

そうですね。
血尿が出た場合も多くは適切な治療で改善しますので、
まずは主治医に相談することが大切です。
専門医コメント
放射線性膀胱炎は、放射線治療の晩期合併症の一つですが、
実際には重症化する患者さんはそれほど多くありません。
また近年は
・IMRT
・高精度放射線治療
・高圧酸素療法
などにより、治療成績は改善しています。
血尿が出た場合でも、
必ずしも重篤な状態とは限らないため、まずは主治医に相談することが重要です。
放射線治療について詳しく知りたい方へ
放射線治療の基本や副作用、費用については以下の記事で詳しく解説しています。
- 放射線治療の初心者向け総合ガイド|仕組み・適応・メリット・デメリットまで徹底解説
- 放射線治療の副作用まとめ|症状・原因・対処・予防を専門医がわかりやすく解説
- 放射線治療の医療費まとめ|自己負担・入院費・制度・保険まで完全ガイド
まとめ
放射線性膀胱炎は
放射線治療後に起こる膀胱の炎症
です。
主な症状
・血尿
・頻尿
・排尿痛
治療
・膀胱内注入
・膀胱鏡止血
・高圧酸素療法
血尿が出た場合でも
多くは適切な治療で改善します。
心配な症状があれば
主治医に相談することが大切です。
関連記事
放射線治療では、頻尿のほかにも排尿痛・血尿・尿漏れなどの症状が起こることがあります。
排尿症状や性機能への影響については、「放射線治療の排尿症状・性機能障害まとめ」で詳しく解説しています。
FAQ(よくある質問)
放射線治療後の血尿はよくあるのですか
まれではありませんが、
重症例はそれほど多くありません。
放射線性膀胱炎はいつ起こりますか
治療後数ヶ月〜数年後に起こることがあります。
放射線性膀胱炎は自然に治りますか
軽症の場合は自然改善することがあります。
血尿が出たら必ず放射線性膀胱炎ですか
いいえ。
尿路感染や膀胱がんなど別の原因の可能性もあります。
放射線性膀胱炎は命に関わりますか
通常は命に関わる病気ではありません。
放射線性膀胱炎は再発しますか
再発することがあります。
高圧酸素療法はどのくらい効果がありますか
研究では
60〜80%程度の症状改善が報告されています。
入院が必要になりますか
重度の出血では入院治療が必要になることがあります。
放射線治療を受けた人すべてに起こりますか
いいえ。
多くの患者では起こりません。
血尿が出たらすぐ病院に行くべきですか
血尿が続く場合は
泌尿器科または主治医に相談することをおすすめします。
放射線治療の総合ガイド
あなたの状況に合わせて詳しく解説しています。
この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。


























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