放射線治療後のしびれ|原因・いつ治る?危険な症状と対処法を専門医が解説

2026年4月17日

患者

放射線治療が終わったあと、
手足がピリピリしびれる感じがあります。
副作用でしょうか?

放射線治療医

放射線治療後にしびれを感じることはあります。
多くは一時的ですが、原因や受診の目安を知っておくことが大切です。

放射線治療のあとに、
手足や治療部位の「しびれ」を感じることがあります。

  • 指先がピリピリする
  • 触った感覚が鈍い
  • 電気が走るような感覚

こうした症状は、多くの場合は一時的ですが、
まれに神経障害による長期的な副作用のこともあります。

この記事では放射線治療専門医の立場から、

  • 放射線治療後のしびれの原因
  • いつ治るのか
  • 危険な症状の見分け方
  • 対処法

国際ガイドラインと最新研究に基づいて解説します。

関連記事

放射線治療では、さまざまな神経症状が起こる可能性があります。
しびれ・痛み・頭痛・めまいなどの症状の全体像については、以下の記事でまとめて解説しています。

放射線治療による神経症状まとめ


放射線治療後のしびれとは

放射線治療後のしびれは、主に神経が影響を受けることで起こる症状です。

症状の例

  • ピリピリする
  • ジンジンする
  • 感覚が鈍い
  • 電気が走るような痛み
  • 触覚の低下

医学的には

放射線誘発神経障害(radiation-induced neuropathy)

と呼ばれることがあります。


放射線治療後にしびれが起こる原因

患者

放射線が神経に当たると、
しびれが出ることがあるんですか?

放射線治療医

はい。
神経そのものや周囲の組織に炎症やむくみが起こると、
しびれとして感じることがあります。

主な原因は以下です。

① 神経への放射線影響

放射線はがん細胞だけでなく、
周囲の正常組織にも影響することがあります。

神経に影響すると

  • 神経の炎症
  • 神経線維の障害
  • 血流低下

などにより、しびれが起こります。


② 神経周囲の炎症

放射線治療後には

  • 炎症
  • むくみ
  • 組織の変化

が起こることがあります。

これが神経を圧迫すると
一時的なしびれが起こることがあります。


③ 神経叢障害(まれ)

高線量照射や特定の部位では

  • 腕神経叢
  • 腰神経叢

などが影響を受けることがあります。

  • 乳がん放射線治療 → 腕神経叢障害
  • 骨盤照射 → 腰仙骨神経叢障害

ただし現在の高精度放射線治療では非常にまれです。

参考
National Comprehensive Cancer Network
American Society for Radiation Oncology


どの部位でしびれが起こる?

治療部位によって異なります。

治療部位しびれの場所
乳がん腕・指
頭頸部がん顔・舌
骨盤脚・足
体の一部

しびれはいつから起こる?

患者

しびれは治療が終わってから出ることもありますか?

放射線治療医

あります。
治療中や直後に出ることもあれば、
数か月〜数年後に出る晩期の神経障害もあります。

大きく2種類あります。

① 急性期

治療中〜治療直後

原因
炎症・むくみ

特徴

  • 数週間で改善することが多い

② 晩期神経障害

治療後数か月〜数年後

原因

  • 神経の線維化
  • 微小血管障害

頻度は非常に低いですが、長期に続く場合があります。

参考研究

  • Delanian S et al. Radiation-induced neuropathy (Lancet Oncology)

関連記事

放射線治療後に起こるさまざまな晩期副作用については、以下の記事でまとめて解説しています。

放射線治療の晩期副作用まとめ(症状・原因・対処法)


放射線治療後のしびれはいつ治る?回復までの目安

患者

このしびれは、自然に治ることが多いのでしょうか?

放射線治療医

炎症などが原因の場合は、数週間〜数か月で改善することが多いです。
ただし長く続く場合は診察が必要です。

多くの患者さんが最も気になるのは
「このしびれは治るのか?」という点です。

症状の回復は原因によって異なります。

原因回復の目安
炎症・むくみ数週間〜数か月
神経刺激数か月以内
放射線神経障害長期化する場合あり

多くのケースでは
時間とともに徐々に改善します。

ただし以下の場合は回復が遅いことがあります。

  • 神経に高線量が照射された
  • 手術後の瘢痕がある
  • 糖尿病などの神経障害がある

症状が続く場合でも
完全に悪化するケースはまれです。


放射線治療後のしびれと他の病気の見分け方

患者

しびれがあれば、全部放射線の副作用なんでしょうか?

放射線治療医

必ずしもそうではありません。
再発や脊髄の圧迫など、
別の原因が隠れていることもあるため注意が必要です。

しびれは必ずしも放射線治療の副作用とは限りません。

以下の病気でも起こることがあります。

原因特徴
腫瘍再発症状が徐々に悪化
脊髄圧迫歩行障害・麻痺
化学療法の神経障害手足の左右対称のしびれ
糖尿病性神経障害足先から進行
頸椎・腰椎疾患姿勢で悪化

そのため

  • 症状が強い
  • 徐々に悪化する
  • 筋力低下がある

場合は、医療機関での評価が必要です。


危険な症状(すぐ相談)

患者

どんな症状が出たら、
すぐ病院に相談した方がいいですか?

放射線治療医

しびれが急に強くなったり、
手足に力が入らない場合は早めに医師へ相談してください。

以下の場合は早めに医師へ相談してください

  • しびれが急に強くなった
  • 力が入りにくい
  • 歩きにくい
  • 感覚がほとんどない
  • 痛みを伴う

これらは

  • 神経障害
  • 腫瘍再発
  • 脊髄圧迫

などの可能性があります。


放射線治療後のしびれの対処法

患者

しびれが続く場合、
治療はあるのでしょうか?

放射線治療医

神経の痛みを和らげる薬やリハビリなどで、
症状を改善できる場合があります。

① 経過観察

軽度の場合

数週間〜数か月で自然改善することが多い

手のしびれがあるときのサポート

手のしびれや違和感がある場合、

  • 着圧手袋
  • サポーター

を使うことで、血流が改善して楽になることがあります。

特に

  • 指先のしびれ
  • 手のこわばり

がある場合に役立つことがあります。


② 薬物治療

神経障害性疼痛には

  • プレガバリン
  • ガバペンチン
  • デュロキセチン

などが使われることがあります。


プレガバリン
ガバペンチン


③ リハビリ

  • 神経リハビリ
  • ストレッチ
  • 運動療法

が有効なことがあります。

手のしびれリハビリ

手や指のしびれがある場合、軽い運動で神経や血流を刺激することが役立つことがあります。

例えば

  • ハンドエクササイズボール
  • マッサージボール

などは、自宅で簡単にリハビリができます。

※無理に力を入れず、痛みが出ない範囲で行いましょう。


④ 症状の原因を評価

必要に応じて

  • MRI
  • 神経伝導検査

などを行います。


放射線治療後のしびれで受診すべきタイミング

患者

少ししびれるくらいでも、
受診した方がいいですか?

放射線治療医

軽い症状なら経過を見ることも多いですが、
長く続く場合や悪化する場合は相談してください。

次のような症状がある場合は、
早めに医師に相談してください。

受診の目安

  • しびれが急に強くなった
  • 手足に力が入らない
  • 歩きにくい
  • 痛みを伴う
  • 数か月以上続く

これらは

  • 神経障害
  • 腫瘍再発
  • 脊髄圧迫

などの評価が必要になることがあります。


放射線治療で神経障害が起こるリスクはどれくらい?

患者

放射線治療で神経障害が起こることは多いのでしょうか?

放射線治療医

現在の高精度放射線治療では非常にまれです。
神経への線量は厳密に管理されています。

放射線による神経障害は、現在では非常にまれな副作用です。

研究では

  • 腕神経叢障害
    → 約 1%未満

と報告されています。

参考研究

Delanian S, et al.
Radiation-induced neuropathy
Lancet Oncology

これは

  • IMRT
  • 画像誘導放射線治療

などの技術進歩により、
神経への線量制限が厳密に管理されているためです。


予防はできる?

現在の放射線治療では

  • IMRT
  • VMAT
  • 粒子線治療

などにより

神経への線量を最小限に抑える設計が行われています。

参考
International Commission on Radiation Units and Measurements


患者

しびれがあると、将来ずっと続くのではと心配になります。

放射線治療医

多くの場合は一時的です。
ただし気になる症状があれば遠慮せず主治医に相談してください。


専門医コメント

放射線治療後のしびれは、多くの場合は一時的な炎症や神経刺激によるものであり、自然に改善することが少なくありません。

一方で、

  • 神経叢障害
  • 脊髄障害

などの晩期神経障害がまれに起こることもあります

特に

  • 症状が強い
  • 進行している
  • 筋力低下がある

場合は、必ず主治医に相談してください

現在の高精度放射線治療では、神経障害のリスクは大きく低下しています。
多くの患者さんでは過度に心配する必要はありませんが、気になる症状は遠慮なく相談することが大切です。

関連記事

放射線治療では、さまざまな神経症状が起こる可能性があります。
しびれ・痛み・頭痛・めまいなどの症状の全体像については、以下の記事でまとめて解説しています。

放射線治療による神経症状まとめ


まとめ

放射線治療後のしびれは

主な原因

  • 神経の炎症
  • 神経圧迫
  • 神経障害

多くの場合

数週間〜数か月で改善します

ただし

  • 強いしびれ
  • 筋力低下
  • 歩行障害

がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。


FAQ(よくある質問)

放射線治療後にしびれが出ることはありますか?

はい。神経の炎症や圧迫などにより、しびれが起こることがあります。多くは一時的です。

放射線治療のしびれはいつ治りますか?

軽度の場合、数週間〜数か月で改善することが多いです。

放射線治療で神経は傷つきますか?

高線量が神経にあたると影響が出る可能性がありますが、現在の放射線治療ではリスクは大きく低減しています。

手足のしびれは再発のサインですか?

多くは副作用ですが、症状が強い場合は再発や神経圧迫の評価が必要になることがあります。

しびれが強いときはどうすればよいですか?

主治医に相談してください。薬物療法や検査が必要になることがあります。

放射線治療後の神経障害は治りますか?

軽度の場合は改善することが多いですが、晩期障害の場合は長く続くことがあります。

放射線治療で足がしびれることはありますか?

骨盤や脊椎への照射では、まれに足のしびれが起こることがあります。

神経障害を防ぐ方法はありますか?

IMRTなどの高精度放射線治療により、神経への線量を最小限に抑える工夫がされています。

しびれと痛みは関係ありますか?

神経が影響を受けると、しびれと痛みが同時に出ることがあります。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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