放射線治療による皮膚症状まとめ|皮膚炎・乾燥・かゆみ・脱毛まで専門医が解説

放射線治療をすると、
皮膚は必ず荒れてしまうのでしょうか?

皮膚に変化が出ることはありますが、ほとんどは軽度です。
適切なスキンケアを行えば、多くの場合コントロールできます。
この記事では、起こりやすい皮膚症状と対処法をまとめて解説します。
放射線治療では、照射された部位の皮膚にさまざまな変化が起こることがあります。
代表的なものとして
- 放射線皮膚炎
- 皮膚の乾燥
- かゆみ
- 色素沈着(黒ずみ)
- 脱毛
- 線維化
などがあります。
放射線治療を受ける患者さんの最大90%程度で何らかの皮膚症状が起こると報告されており、もっとも一般的な副作用の一つです。
ただし多くの場合は
- 適切なスキンケア
- 早期の対処
- 医療スタッフとの連携
によって、症状を軽く抑えることができます。
この記事では、放射線治療で起こる皮膚症状の全体像を、放射線腫瘍専門医の視点から解説します。
なお、放射線治療の副作用全体については、以下の記事で詳しく解説しています。
放射線治療で皮膚症状が起こる理由

どうして放射線治療で皮膚に症状が出るのですか?

放射線はがん細胞を攻撃しますが、
同時に皮膚の細胞にも少し影響します。
そのため、赤みや乾燥などの症状が出ることがあります。
ただし最近は治療技術の進歩で、症状は以前より軽くなっています。
放射線は、がん細胞を破壊する一方で、正常な皮膚細胞にも影響を与えます。
皮膚では特に
- 表皮細胞
- 毛包
- 皮脂腺
- 血管
などが影響を受けます。
その結果
- 炎症
- 乾燥
- 色素変化
- 毛の脱落
などの症状が起こります。
国際的な支持療法ガイドライン(MASCCなど)でも、放射線皮膚反応は最も頻度の高い局所副作用の一つとされています。
放射線治療による主な皮膚症状

放射線治療では、
どんな皮膚症状が起こることが多いのですか?

代表的なのは、放射線皮膚炎、乾燥、かゆみ、黒ずみ、脱毛などです。
それぞれ症状の出方や対処法が少しずつ違うので、
順番に解説します。
ここでは、放射線治療後に見られる代表的な皮膚症状を紹介します。
放射線皮膚炎
放射線治療の代表的な副作用です。
主な症状
- 赤み
- ヒリヒリ感
- 皮膚のむけ(乾性落屑)
- 皮膚びらん(重症例)
多くは治療開始2〜3週間頃から出現します。
放射線治療後の色素沈着・線維化
治療後に
- 皮膚が茶色くなる(色素沈着)
- 皮膚が硬くなる(線維化)
といった変化が残ることがあります。
多くは数か月〜数年かけて徐々に変化します。
放射線治療後の皮膚の乾燥
放射線によって
- 皮脂腺
- 汗腺
がダメージを受けることで、皮膚が乾燥しやすくなります。
そのため
- 保湿
- 刺激を避ける
ことが重要です。
放射線治療後の皮膚の黒ずみ
放射線によって
- メラニン色素の増加
が起こり、皮膚が黒くなることがあります。
多くの場合は
数か月〜1年程度で徐々に改善します。
放射線治療のかゆみ
皮膚炎や乾燥に伴い、かゆみ(掻痒)が出ることがあります。
対策
- 保湿
- ステロイド外用
- 抗ヒスタミン薬
などが使われます。
放射線治療後の脱毛
放射線は毛包に影響するため、照射部位では
- 一時的な脱毛
- 永久脱毛
が起こることがあります。
これは
- 照射線量
- 照射範囲
によって変わります。
放射線治療中の皮膚ケア(ガイドラインに基づく)
国際的な支持療法ガイドラインでは、以下のようなスキンケアが推奨されています。
主なポイント
✔皮膚を清潔に保つ
✔保湿を行う
✔刺激を避ける
✔異常があれば早めに医療者に相談
具体例
- 低刺激石鹸で洗う
- 保湿剤を使用
- きつい衣服を避ける
- 摩擦を減らす
多くのガイドラインでは、基本的な保湿ケアが最も重要な予防策とされています。

皮膚トラブルを防ぐために、
自分でできることはありますか?

一番大切なのは保湿です。
そして、こすらない・刺激を与えないこと。
少しのケアでも皮膚症状を軽くできることが多いので、
毎日のスキンケアを意識しましょう。
受診の目安
次のような場合は、早めに主治医へ相談してください。
- 強い痛み
- 皮膚がただれている
- 出血
- 強いかゆみ
- 感染が疑われる症状
早期対応により、症状を軽く抑えることができます。

皮膚症状が出ると、
放射線治療は続けられなくなるのでしょうか?

多くの場合、適切に治療すれば放射線治療は継続できます。
症状が気になるときは我慢せず、
早めに医療スタッフに相談してください。
専門医コメント
放射線治療による皮膚症状は、ほとんどの患者さんに起こりうる一般的な副作用です。
しかし近年は
- IMRT
- IGRT
- 画像誘導放射線治療
などの技術の進歩により、皮膚への影響は以前より軽くなっています。
重要なのは
- 適切なスキンケア
- 早めの相談
- 医療チームとの連携
です。
皮膚症状は適切に対応すれば、多くの場合コントロール可能です。
気になる症状があれば、遠慮せず医療スタッフに相談してください。
まとめ
放射線治療では、照射された皮膚にさまざまな変化が起こることがあります。
主な症状
- 放射線皮膚炎
- 乾燥
- かゆみ
- 黒ずみ
- 脱毛
- 線維化
多くは適切なケアでコントロールできます。
皮膚症状が気になる場合は、医療スタッフと相談しながら対処していきましょう。
FAQ(よくある質問)
放射線治療で皮膚は必ず荒れますか?
多くの患者さんで軽度の皮膚変化は起こりますが、重症になることは多くありません。
皮膚症状はいつから出ますか?
多くは治療開始後2〜3週間頃から現れます。
放射線皮膚炎は治りますか?
多くは治療終了後数週間で改善します。
保湿は必要ですか?
はい。保湿は最も基本的で重要な対策です。
入浴はできますか?
基本的には可能ですが、刺激の強い洗浄は避けます。
日焼け止めは使えますか?
医師の指示に従い使用します。
脱毛は戻りますか?
線量によっては永久脱毛になる場合もあります。
黒ずみは治りますか?
多くは時間とともに薄くなります。
かゆみが強い場合は?
ステロイド外用薬などが使用されることがあります。
皮膚がただれたら?
早めに主治医へ相談してください。
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この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。
























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